語楽カフェ

趣味としての外国語学習

2007-07-31

[]005号 「わたしの外国語上達法」 23:04 005号 「わたしの外国語上達法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 005号 「わたしの外国語上達法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 005号 「わたしの外国語上達法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

 

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法  - 005号 -

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■はじめに

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みなさん、こんにちは。寅彦と言います。

国語学習は順調ですか?

メルマガの第5号をお届けします。

このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

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■今週の本 「わたしの外国語上達法」ロンブ・カトー著 米原万里

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お薦め度: ★★★★☆

私のバイブルの一冊です。

「平均的な学習者」向けの勉強法を提示しつつ、理論の面も多岐にわたり

書いています。

実行可能度: ★★★☆☆

一日一時間半外国語の学習に充てられる人なら

その他、読んで頂きたい方: 

米原万里のファン

通訳志望の方

「私の外国語学習法」 

ちくま学芸文庫 2000.3  価格 998円

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/4480085432/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

最初の200ページは、自分の外国語学習法とその理論的説明。

その後、著者の言うところの「平均的学習者」向けの勉強法の提示。

最後は通訳という職業について書かれています。

我々「平均的学習者」には「わたしの外国語上達法」の章が割り当てられて

いるのですが、著者の外国語学習へのアプローチは興味深く、いろいろな

ヒントが見つかりますので、他の部分もお薦めです。

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■エッセンス

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「わたしの外国語上達法」の章には、次の学習法が提示されています。

・かなり分厚い辞書を買う。

これを教科書として、単語を「観察」し、読み方のルール、派生語の作り

方を発見する。

・同時に、教科書を買う。

教科書はどんどんこなし、練習問題を解いていく。

・同時に文芸作品を買う。戯曲や短編小説を読む。(学習用のGraded Readers

の類でも可)

そこで見いだした単語を単語帳に書き出す。(文脈を添えて)

・ラジオ放送を聞く(ニュース)

事前に自国語か、知っている他の外国語でニュースを聞いておく

分からない単語を聞きながら書き留め、終了後辞書で調べる。

一日、二日間を置いてから、単語帳に書き込む

・週に一度番組を録音し、何度も聞く。発音に注意。

・教師を見つけ、作文を添削してもらう。

・やがて翻訳練習にうつる。

このほかに、毎日学習すること、文脈の中で覚えること、翻訳してみること

などの十のアドバイスがあげられています。

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■内容

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著者は外国語が苦手だったこともあって大学は理系に進み、物理と化学を

修めました。

しかしながら就職先が見つからず、急遽外国語教師で身を立てることを決意

しました。

その語、ほとんど自国を出ることなく、学習により25年間で16カ国語を習得

しました。(同時通訳レベル5カ国語、通訳レベル5カ国語、残りの6カ

国語も翻訳レベル)

外国語を身に付けるのには海外で生活するのが一番という人もいますが、

25年間で16カ国を移り住んでも、このようなレベルには達しませんね。

ということは、海外で生活する以上の効果を国内での学習で身に付ける

ことができると言うことです。(著者のやり方ができればということです

けれど)

著者のやり方は、多読と熟読が中心です。

多読の中で文法事項を発見して行くというのは、シュリーマンのやり方を

思い出させます。

学習の初期から文芸作品を読み、文法事項を推理し、読後に文法書により

自分の推理が正しいかどうか確認するとしています。

「どんな本を読んだらいいのか」という問いに対しては、「私たちが興味を

惹かれるものを読めばいいのです」としています。(89ページ)

あらゆる文芸作品には、それが書かれた国語全体が内包されているのです。

(105ページ)

言葉遣いの慣れを最も良く発達させてくれるのは、的確で自然なリズムで

書かれた現代の戯曲、中編、長編小説の類です。(92ページ)

また、市販の会話ハンドブックの類について

「上に述べたような《対話パターン》は、その使用法のすべてのキー・

ポイントとともに文芸作品によって最良の形で提供されているのです」

(99ページ)

として、文芸書から学ぶべきとしています。

語彙増強については、読書による習得をベースとしつつも、自分の単語帳を

作成することを強く勧めています。

「本は、文法を教えてくれるだけでなく、語彙拡充、語彙学習一般にとって、

最も堅実な手段である。」(79ページ)

アウトプットの訓練については、独り言を言うことを勧めています。

「周囲にだれもいないときに、外国語で独り言を言うことを、私は熱心に

勧めます。」(86ページ)

シュリーマンがロシア語を学んだ時に、(話す相手がいないので)ユダヤ人を

雇って座らせて、相手が理解しないロシア語を話し続けたというエピソードを

思い出します。

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■感想

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16カ国語を、しかも極めて高いレベルまで習得した著者の学習法は興味深い

ものです。書物から語彙も文法も習得していくのは、第三号でご紹介した

シュリーマンに通じるところがあります。

「平均的学習者」向けの勉強法と言いつつ、「これは大変だ」と感じる方は

結構いらっしゃるのではないでしょうか。

「忘却との唯一の戦いの手段は反復です」(112ページ)

私も中学の時は何十回も音読したのですが、どうも大人になると、そのような

泥臭いトレーニングを避けてしまいます。反省しております。

ところで、多読を中心に置く著者ですが、文法学習を軽視しているわけでは

ありません。

「《機械びいき》に育てられた現代の若者たちは、文法に最も抵抗を感じるよう

です。これは深刻な問題です。文法を知らずに人間が習得できるのは、母国語

だけです(それもしゃべることだけ。ものを書くことは、文法なしに身に付け

られません)」(80ページ)

文法重視か、コミュニケーション重視かという、最近の「どちらを取るのか」

的アプローチについて、私は、「両方やればよいのに」と思っているのですが、

著者も同様なことを書いています。

「さて、両極端がわたしたちの前に横たわっています。昔の学校が目的にまで

してしまった、そして現代の学習者が手段としてさえ受け入れたがらない文法

です。

真理に導いてくれるのは、その中ほどの道です」(82ページ)

私が興味深く読んだのは、「われわれが外国語で話すときのメカニズムは

どうなっているのか?」という章です。

母語、或いは既に学んだ外国語からの類推。すなわち、既に取得した型紙の

利用という形で説明しています。

これは私が「語学の方程式」で「フィルター理論」として展開していた

フィルターの作り方に近いと思いました。 (「型紙」=「フィルター」)

最後に、語学的才能の定義として著者が提示した式をご紹介します。

消費された時間 + 関心度 = 結果

これについて、羞恥心による抑制のマイナス効果を割引いて

(消費された時間 + 関心度) / 羞恥心 = 結果

としています。

平均的な学習者として、今日から毎日1時間半、強い関心を持って外国語

学習に取り組みましょう。

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■おまけ

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訳者あとがきの中で米原さんは「本書との出合いが無ければ、わたしは

通訳という稼業に就いていなかったと思う。少なくとも、今のような

通訳者にはなっていなかった気がする」と書いています。

彼女の通訳理論として後に発表される「不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か」に、

ロンブ・カトーが見え隠れしています。

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著者はハンガリー人ですが、複数言語を操るハンガリー人は、他に数学者/

大道芸人ピーター・フランクルがいます。

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発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

(英検1級は優秀賞表彰)

四捨五入すると50歳。もう一度四捨五入すると100歳 !!

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

─著者ブログ 他─────────────────────────

『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/

『語学の虎の巻』(当メルマガ バックナンバー他)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/

──おまけブログ───

『宝庫』(語学関連以外の日々の発見)

http://d.hatena.ne.jp/shibutora/

『サルバトール・だれ?』(ただのお笑い)

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mixi やってます

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