2007-08-14
■ [メルマガ]007号 人間はみな語学の天才である
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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による
語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 - 007号 -
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■はじめに
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みなさん、こんにちは。寅彦です。
暑いですねぇ。夏は外国語学習に最適の季節です。(そうとでも思わないと
やっていられません)
第7号をお届けします。
このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。
こちらです。
http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620
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■今週の本 「人間はみな語学の天才である」アルフレッド・トマティス
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買う??: ★☆☆☆☆
一般向けの書物なのですが、言語学、心理学、医学(著者は耳鼻咽喉科、
音声医学を専門とする医学博士)の側面からの記述が多く、読みやすくは
ありません。
しかし、面白いエピソード・発見がある、とても興味深い本です。語学
学習法探求者には刺激的な必読書だと思います。
理論のエッセンスはトマティスジャパンのサイトで読めますので、まずは
そちらからでも良いでしょう。
http://tomatis-japan.com/welcome/index.html
実行可能度: ★☆☆☆☆
これを実践するとなると、トマティスジャパンで指導を受けると言うこと
だと思いますが、物理的、経済的に誰にでもと言うわけにはいきません。
しかしながら、聞き取りに問題ありと感じていらっしゃる方は、お試し
レッスン+聴覚テストにより、耳に問題はないかチェックするのは有益
だと思います。
読んで頂きたい方: 聞き取りに興味がある方。モーツァルトの好きな方。
「人間はみな語学の天才である」
アルク 1993.11 価格 1,800円
アマゾンはこちらから (中古のみ)
http://www.amazon.co.jp/dp/4872342690/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
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■エッセンス
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トマティスの基本三法則
1. 耳で聴き取れない音は発音できない。
2. 聴覚の改善により発声にも変化が現れる。
3. 聴覚の改善後、発声の改善も定着させる事ができる。
言葉によって使う周波数が違うので、一つの言葉に慣れきってしまうと
他の言葉が聞き取れない。
日本語 125~1,500ヘルツ
フランス語 100~2,000ヘルツ
アメリカ英語 1,000~4,000ヘルツ
イギリス英語 2,000~12,000ヘルツ
(一部トマティスのホームページのデータから追記しました)
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■内容
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魚をさばいて調理する訓練をたくさんやっても、肝心の魚が釣れなければ
調理はできません。
まずは耳に音が入ってこなければ、聞き取りも何もあったものではない
ということで、聞き取れる周波数を拡げようというものです。
本書で紹介されているトマティスメソッドでは、耳の筋肉と神経組織を、
ターゲットとする外国語が聞き取れる形に作り替えて行くことで、
聞き取りを容易にしようとするものです。
1.世界のそれぞれの地域の大気の状況によって、響きやすい周波数が
異なるので、各言語の利用する周波数が異なる。
フランス人が英語が苦手なのは、英語の周波数領域がフランス語のそれより
高いことによる。
イギリス英語はアメリカ英語よりさらに高い周波数を用いる。
2.子供は生まれた時には幅広い周波数を聞き取ることができていたの
だが、母語にのみさらされて長く過ごすと、母語の周波数以外の音に
対して耳が閉じてしまう。
3.聞こえていない周波数領域が聞こえるように調整することで、外国語が
聞き取れるようになる。
著者はフランスの耳鼻咽喉科専門の医学博士ですが、外国語学習の初期の
段階に、まずは耳を開くことが大切だと説いています。
マリアカラスやジェラール・ドパルデューなどがトマティスメソッドの
「治療」を受けています。
(日本では「声に出して読みたい日本語」「身体を揺さぶる英語入門」の
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■感想
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この本を読んだ時、私はミラノに勤務していました。
アメリカ英語には問題は感じていなかったのですが、テレビから流れる
イギリス英語、たまのロンドン出張の際のイギリス英語の聞き取りに
苦労していました。
そんな折、たまたま一時帰国となったので、トマティスの聴覚テストを
受けてみました。
私の聞き取り周波数曲線は、みごとにアメリカ英語の終わりのところで
ストンと切れていました。
テストで調べられたのは
1.聞き取れる周波数の幅
2.外から聞こえる「気道音」と骨を伝わって聞こえる「骨導音」の調和の
具合
3.耳が右利きか左利きか
4.音が右側/左側で聞こえていることの認識の正しさ
だったと思います。
1の周波数の話は分かりやすいですね。楽器を演奏する方は聞き取れる
周波数の幅が広いので、聞き取りの上達が早いそうです。
私の場合、イギリス英語の高いところが聞き取れなかったのでどうすれば
よいかと訊ねたところ、モーツァルトのバイオリン協奏曲を聴いてください
と言われました。(ただし、当時のCDは高周波をカットして録音していた
ので、レコードで聴いてくださいと言われました。幸いその直後にイギリス
勤務となったので必要なくなったのですけれど)
2について。自分の話している声を録音して聴いてみると変な声に聞こえ
ます。これは、自分の声は骨伝導で聞こえているのに、外からの音は耳から
聞こえているからです。
外国語の音を聞いて、それを自分が正しく発音しているかどうかが判断
できるためには、骨導音と気導音が揃っていることを正しく認識できな
ければなりません。
カラオケで伴奏の音と自分の声がずれていることが分かるか分からないか
というのと同じだと思います。(仮説: 外国語の発音の良い人はカラオケも
上手)
3については、耳は右利きがよいそうです。ただし、受話器を当てる耳が
どちら側かと言うこととは関係ないようです。
ロンドン暮らしを終えてすっかりブリティッシュアクセントになった私は、
2005年に再びトマティスの聴覚テストを受けてみました。
周波数はかなり上の方まで伸びていました。(期待していた程ではなかった
のですけれど)
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■おまけ
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関連図書
トマティス流 最強の外国語学習法―英語を話すには「英語の耳」が必要だ!
村瀬邦子 日本実業出版社 (1996/06)
アマゾンはこちら(中古のみ)
http://www.amazon.co.jp/dp/4534024800/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
日本でのトマティスカウンセラー第一号の村瀬さんの本です。
私も持っていたのですが、売り払ってしまいました....
トマティスジャパンでも入手可能なようです。
それではまた。
来週は夏休みで一回お休みさせて頂きます。
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発行者略歴
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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)
2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠
(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。
発行者とトマティスジャパンの間には、(発行者が聴覚テストを2回受けたと
言うこと以外の) 関係は一切ございません。
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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法
発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)
発 行 : まぐまぐID= 0000238273
配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/
─著者ブログ 他─────────────────────────
『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)
http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/
『語学の虎の巻』(当メルマガ バックナンバー他)
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──おまけブログ───
『宝庫』(語学関連以外の日々の発見)
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