語楽カフェ

趣味としての外国語学習

2007-10-31

[]016号 「快読100万語! ペーパーバックへの道」 12:37 016号 「快読100万語! ペーパーバックへの道」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 016号 「快読100万語! ペーパーバックへの道」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 016号 「快読100万語! ペーパーバックへの道」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

 

ランキング参加中です。こちらもクリックで応援お願いします。

英語学習 ランキング

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法  - 016号 -

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■はじめに

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

みなさん、こんにちは。寅彦です。

 

中間決算でバタバタして先週はメルマガをお休みさせていただきました。

 

第16号をお届けします。

 

このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今週の本 「快読100万語! ペーパーバックへの道」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

買う??: ★★★★☆

癖になるかも知れません。

 

実行可能度: ★★★☆☆

材料が入手可能であれば。

 

読んで頂きたい方:

ペーパーバックを読みたいと思っている方。

返り読みの癖が抜けない方。

 

 

「快読100万語! ペーパーバックへの道」 酒井邦秀 

ちくま学芸文庫 2002.06  

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/4480087044/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■エッセンス

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

標語 (43ページ)

 

・わからないところは飛ばす (百万語までは類推もしない)

・話がわからなくなったらすぐやめて次の本に移る。

・辞書を引かない (百万語を過ぎたら必要に応じて英英辞典を)

・文法を考えない

・和訳をしない

 

思い切り易しいレベルから始めることで、返り読みの癖が取り除かれ、

頭から理解していくようになる。

それにより、聞き取りも(頭から理解できるので)容易になる。

というものです。

 

すでにかなり英語が読める人も、実は頭の中で猛スピードで返り読みを

しているかも知れません。

よって思い切って易しいレベルから始めるのが大切です。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■内容

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

百万語までの道のりを、各レベルの代表的な本を紹介しながら登っていく

本です。

あちらこちらにヒントが散りばめてあります。

 

どうしても和訳してしまう人は、頭の中で音読をすると良いとしています。

音読をすると「かたまり読み」ができず、スピードが上がりませんが、

和訳するよりはましです。(71ページ)

 

目安になるスピードとしては、1分間150語から200語くらいの速さで

読めるようになったら、次のレベルに移ることを勧めています。

(72ページ)

 

様々な英文でしらべてみたところ、基本の1000語で80%、3000語で

90%をカバーしているとのことです。(84ページ)

それでまずは1000語をマスターすることを目指すのですが、1000語を

マスターするには100万語を読む必要があるという研究があるそうです。

(87ページ、235ページ)

 

分からない単語を放っておいて良いのかと言う質問については、日本語でも

全ての言葉の意味が分かっているわけではなく、何度もその語に出会って

意味が分かってくるようになるのだから、それと同じであるとしています。

(110ページ)

完璧主義から逃れられれば、英語にもっとリラックスして取り組めるように

なります。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

感想

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

この多読法は癖になるので注意が必要です。

 

ペーパーバックを楽しく読めるようになりたい人にとっては、最適の

勉強法です。

目的と手段が一致していますから。

 

よって、ペーパーバックにはあまり興味はないが、語学を身につける

ために多読の学習法を取り入れようとしてこの本を読む人は注意が必要

です。

 

昨年このアプローチを発見し、私はすぐに飛びつきました。

 

それまで金融・ビジネス関連の外国語の文章ばかり読んでいたのですが、

文芸作品に取り組もうとするとなかなかうまく行きませんでした。

実務書では語彙に偏りができ、専門用語が分かれば意味も通じてしまい、

またそこで使われる表現も平易なものが多いのが原因だと思いました。

 

そこで文芸書の多読を行うことで基本語の意味/ニュアンスの理解を深め、

文芸的な表現にも慣れようとしたわけです。

 

多読を始めて分かったのは、ペーパーバックを読むための語彙はしばしば

現地の文化に深く根付いているもので、必ずしも私の目指しているものとは

同じ方向ではないということでした。

 

本書でも基本語を活用し、Big wordsは避けるべきとの記述があります。

(245ページ)

前回ご紹介した「たった3カ月でTOEICテスト905点とった」によれば、

これは発話の戦略なのですけれど、それ以前に、私にとってはこれも

「文化/地域に引っ張られた」表現であり、国際語としてのビジネス英語の

現場では避けた方が良いと考える分野です。

 

もちろん、ペーパーバックや現地のドラマを楽しみたいという方にとっては

避けては通れない部分だと思います。

また、地域/文化の広がりが限定的な他の言語においては、ある程度必要

だと考えます。

 

私個人はこれまで楽しみのための読書をしていなかったのですが、そうは

言ってもハリポタなど読んでいると楽しいので、ついついはまってしまい、

気がついたらかなりの時間が取られているということになります。

読書が趣味だと割り切れる人には全く問題ない話なのですけれど、気に

なってしまいます。

 

さらに、かけた時間の割には、語彙も表現も定着しないような気がして

います。

表現でなく内容に引っ張られてぐいぐいと読んでしまうと、私の場合は

ほとんど残らないようです。

 

多読により語彙や表現が定着する度合いについては個人差があるようです。

 

本をどんどん読んでいく中で、読んだ本の語数を記録して足していく

ことは重要です。

目標となり、達成感があります。

私は昨年の開始からようやく190万語まで来たところです。

 

量をこなすことで段々とペーパーバックへの精神的な抵抗レベルが下がり

ます。

以前は「うっ」と後ずさりした分厚い本も、今では600ページでも700

ページでも気軽に読み始められるようになりました。

 

 

多読をやっていらっしゃる方は膨大な外国語のインプットをこなして

いるので、「引き続きアウトプットを磨けば(インプットがしっかり積み

上がっているので)すぐにできるようになるだろう」と思われるのですが、

そちらに向かわない方も多いように思えます。

 

インプットの部分は独学で対応可能なのに対し、アウトプットはそう

なりにくいという一段ハードルが高いという部分もあるのでしょうが、

それよりも何も、多読の楽しみにすっかり満足しているということで

しょう。

 

人によって習得を目指すスキルとレベルは異なるわけですから、「読む」

ための語学力の習得を目的とする人にとっては全く問題になりません。

ただ、インプットの土台が不十分なままにアウトプットに走る人が多い

中ではもったいない気がします。

 

学校英語教育がいろいろ批判されていますが、結局のところは読書量の

不足が一番の問題ではないかと思います。

授業の他にうまく多読を取り入れられれば、英語のできる人がもっと

増えるような気がします。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■おまけ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

多読を実践している人たちの掲示板があります。

 

めざせ100万語!多読で学ぶSSS英語学習法

http://www.seg.co.jp/sss/index.html

 

こちらの掲示板をこまめにチェックしています。

掲示板に書き込まれる体験談は、時には「あり得ない!!」と思われる

こともありますが、非常に興味深く刺激的です。

 

また、著者は「こども式」というサイトを運営し、「読む」のみならず、

「聞く」「書く」「話す」についても、こども式のアプローチを模索して

います。(「こども式シャドーイング」はとても興味深いです)

http://tadoku.org/

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

発行者略歴

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

来年の手帳を何にしようか悩んでいます。

 

─────────────────────────────────

メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

─著者ブログ 他─────────────────────────

『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/

『語学の虎の巻』(当メルマガ バックナンバー他)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/

──おまけブログ───

『宝庫』(語学関連以外の日々の発見)

http://d.hatena.ne.jp/shibutora/

mixi やってます

http://mixi.jp/show_friend.pl?id=632399

─────────────────────────────────

─────────────────────────────────

・無断転載はご遠慮ください

・お友達への転送はご遠慮なく

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━