2007-12-18
■ [メルマガ]023号 「英語の達人」
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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による
語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 - 023号 -
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■今週の本 「英語の達人」杉田敏
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買う??: ★★☆☆☆
他の人がどのように英語を勉強しているかというのは気になるものです。
この種の本は何冊か出ていますが、たまには気分転換を兼ねて読んで
みるのは楽しいです。
実行可能度: ★★☆☆☆
すごい方ばかりでちょっと大変そうな気がしますが、部分的に取り込む
ことは可能でしょう。
「英語の達人」杉田敏
DHC 1996.09
アマゾンはこちらから
http://www.amazon.co.jp/dp/4887240848/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
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■エッセンス
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7つの「成功の秘訣」
1.積極的な生き方、不屈の精神力
2.「バネ」としての英語
3.英語学習にかけた執念、努力 -> 少なくとも2,0000時間の学習が必要
4.恥をかくことを恐れない
5.「聞く」「話す」「読む」「書く」のバランス
6.思考の大きな柱としての母国語の能力
7.目標設定 -> 「何のために、どの程度上達したいのか。そのために
どれだけの時間とお金を投資する意思があるのか」
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■内容
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著者はNHKラジオの「ビジネス英会話」の講師です。
14人の達人の英語習得法は、インターネット以前の時代のもので、やや
古い感じがするものの、学校英語/ラジオ講座/独学を基本とする様々な
アプローチはとても参考になります。
かなりハードな「修行」であることから、これはちょっと無理だと思う
部分がありますが、達人も地道な、血のにじむような努力をしているのだ
とわかり、楽をして上達する道はないとあらためて思い知らされます。
以下、興味深かったインタビューの内容です。
肩書きは出版当時のものです。
1.塩谷紘 文藝春秋北米総局長、元AP通信社記者、リーダーズ
ダイジェスト誌日本版編集長
(1) 高校時代
・高校時代は英文学の名作を手当たり次第に読んでは、好きな作品を
丸暗記した。(エドガー・アラン・ポーの「黒猫」や、「チップス先生
さようなら」とか)
・英語のポップスも100曲くらい覚えた
・単語やイディオムはノートに書き写して音読して覚える
・英英辞典で各単語の解説を10回ほど音読しながらノートに繰り返し書く
(2) AP通信社記者時代
・記者用のマニュアル「APスタイルブック(50ページほどの小冊子)」を
丸暗記した
・東京特派員の書いた記事の中から優れたものを選んで、その日の内に
どんなに遅くなっても必ず丸暗記してしまう。
(3)コメント
文学作品を覚えるのは、シュリーマン方式ですね。
50ページあまりと書いてあった「APスタイルブック」は、今では419
ページになっているようです。アマゾンはこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/046500489X/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
とりあえず私は手元にある Strunk and White の “The Elements of Style”
をしっかりやろうと思いました。アマゾンはこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/020530902X/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
2.佐藤明弘 ダウ・ジョーンズ経済通信アジア総局長
(1)学生時代
・中学の教科書は全て暗記した
・高校ではリンガフォンを毎日二時間聞いた
・高校の時に文法書を何冊も読んだ
・高校の時から英語の好きな本を勝手に読んでいた -> いい英語を味わい
ながら読むのが好きだった
(2) 現在
読む本は英語。日本語の本はほとんど読まない。
(3) 私のコメント
新聞を英字新聞に替えてみようかと思いました。
生活の中で外国語に代替可能なものは外国語に替えてしまうというのは
良いかも知れません。
例えば自分だけわかればよいメモなどは外国語で書いてしまうなど。
3.國弘正雄 「同時通訳の神様」
父親から漢文の素読をやらされた。
その影響で、学校では全ての科目で音読を行った。
4.長崎玄弥 英語研究・教育者
海外に出ないで、単語は15万語くらい覚えたという
・英語はお経
お坊さんにもらったお経(45分くらいのもの)を一年くらいで覚えてしまった
経験から、教科書も単語もどんどん覚えた
すなわち、単語の変化形をお経のように覚える。ただし、一つの単語について
4(肯定、否定、疑問、否定疑問) x 6(現在、過去、未来、現在完了、
過去完了、未来完了)x2(進行形)x2(受け身) = 96 通り。
これを年間で100万回くらいやった
5.杉田敏
「上達している過程では、力が伸びているというのは自分ではわからないん
です。だから途中で投げ出してしまう人が多いんですよ。実力がつくと
いうのはなめらかな上昇曲線を描いていくのではなくて、ある日突然、
ガクンと上がっていく」(296ページ)
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感想
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著者を含め、英語で新聞記事を書いていた人はやはりレベルが違います。
書き言葉でネイティブと競い合うわけですから、大変な努力だったと
思います。
そこまで狙っていない我々は、真似する必要はないのですけれど、いい
英語を覚えるというのは、あまり長くなければやれそうですし、効果が
ありそうです。
インターネット以前の時代にこのレベルまで達した人がいると知る時、
我々が英語に費やす時間が圧倒的に足りていないと感じます。
ところで、297ページで著者が「これだけ一生懸命やっているようなのに、
TOEICの平均点がこの十年ほとんど変わっていないというんです」と書いて
いる部分がちょっと気になりました。
TOEICは平均点が一定の範囲に収まるように採点していることをご存じで
言っていらっしゃるのかどうか。
外国の受験者もいる中で日本人の平均点が上がるためには、外国の受験生の
平均点が下がるか、日本人がものすごく出来るようにならないといけませんね。
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■おまけ
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本書の発行は、DHCです。
テレビの化粧品等のコマーシャルで、「やっぱりDHCだね」とやっている
あのDHCです。
もともと、大学翻訳センター(Daigaku Honyaku Center)という社名だった
とのことです。
今週は本当は「言語の脳科学」酒井邦嘉 中公新書をご紹介するつもり
でした。
http://www.amazon.co.jp/dp/4121016475/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
が、内容が盛りだくさんで、かつ、(読み物としては面白いものの)外国語
学習に直接の関連がないことから、半分読んだところで諦めました。
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発行者略歴
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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)
2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠
(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。
ギックリ腰で運動を控えています。二月の東京マラソンに間に合うか。
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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法
発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)
発 行 : まぐまぐID= 0000238273
配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/
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