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時代は国際会計基準(IFRS)らしい その15

 
先日の記事に対し、ユウエイさんからコメント/ご質問をいただきました。
「CIAEWのIFRSの認定試験は受験価値はあるのでしょうか?」
 
試験の価値には色々なものがありますが、履歴書に書いてインパクトがあるかという意味では余り期待せず、それに向かって勉強することで、一定の期間内に一定のレベルまで到達することを容易にするということだと思います。
 
日本基準が国際会計基準になる(あるいは近づく)ということであり、そうなってしまえば日本基準であり、これまで日本基準で仕事をしていた方も当然に知識のアップデートをしてきます。
 
日本基準を知らずにIFRSの知識をつけて転職市場に出て行くというのはやや甘いと思います。
 
IFRSが基本は連結・上場企業向けの基準であり、単体、非上場企業は日本基準のままで(当面の間は)残るでしょう。
IFRSが必要となる企業に就職したとして、単体(日本基準)側の知識が無くてIFRSの知識だけあっても中途半端な感じがします。
 
IFRSで生きるのであれば、この導入期に於いては、英語力を生かして海外子会社との会計方針の統一、海外子会社へのグローバルGLの導入のプロジェクトに参加するという分野でニーズはあると思いますが、それにしても、現地の会計基準についての知識(あるいは短期間で修得する能力)が必要になるでしょう。
 
他方、不勉強で良く分からないのは、「日本基準が国際会計基準になるのか」ということです。
 
何を今さらというところですが。
 
例えばHKやシンガポールは、ほぼIFRS準拠の国内基準を持っていますが、これを完全にIFRS準拠とするニーズがどのくらいあるかということです。
 
欧州の上場基準に於いては、IFRSとの同等性評価で同等とされれば良いわけで、また、必要な箇所を修正、注記すれば上場には支障が無いわけです。
 
米国の上場基準がどうなるかわかりませんが、IFRSに限りなく近い上場基準。ただし、欧州、米国に上場する企業は追加で開示、修正を行うという道もあるのではないかということです。
 
もう一つ分からないのは、IFRSの日本語訳の取り扱いです。
先週のオラクルのセミナーで、ヒューロンの井上さんが以下のようにコメントされたそうです。

(引用開始)
適用基準が「IASBが作成したIFRS(日本語翻訳版)を適用する」から、「IASBが作成したIFRSをそのまま適用する」へと変更されたことだ。特に適用基準に関しては井上氏も「英語の原文を使わなければいけないため、会計処理にかなりの影響が出てくると予想されます」
(ここまで)
セミナーに関する記事はこちら
 
他方、中間報告に於いては引き続き
(引用開始) 
IFRS適用に当たっては、我が国の作成者、投資者等がIFRSを理解できることが不可欠であることから、日本語に適切に翻訳され、これが、IFRS(日本語翻訳版)として広く認知されている必要がある。
(ここまで) 
 
とありますし、翻訳版を用いても構わないことについてはIFRSの前文でも書かれているわけですから、これは違うのではないかと思います。
 
いずれにせよ、日本語版の最新版が2007年版で、世の中は2009年版というのは問題ですが。