語楽カフェ

趣味としての外国語学習

2007-08-28

[]008号 「語学で身を立てる」 19:03 008号 「語学で身を立てる」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 008号 「語学で身を立てる」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 008号 「語学で身を立てる」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

 

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法  - 008号 -

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■はじめに

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みなさん、こんにちは。寅彦です。

東京は少し過ごし易くなってきましたが、まだまだ暑いです。

 

第8号をお届けします。

 

このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

 

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■今週の本 「語学で身を立てる」猪浦道夫

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買う??: ★☆☆☆☆

これから語学スペシャリストの道を選ぶ方の道案内の書として。

 

読んで頂きたい方: 語学で身を立てたい方。

 

「語学で身を立てる」 

集英社新書 2003. 2 定価 693円  

アマゾンはこちらから 

http://www.amazon.co.jp/dp/4087201813/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

   

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■エッセンス

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1.語学を生かす仕事は次の三つに分けられる

・語学スペシャリストコース

・ビジネスマンコース

・起業家コース 

 

本書ではこのうちの語学スペシャリストを取り上げる。

それをさらに翻訳、通訳、語学教師の三つに分けた上で、それぞれに

必要とされる資質や、キャリアアップ法等について述べる。

 

2.プロとして必要な語学能力とは翻訳能力である。

 

 

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■内容

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本書は語学スペシャリストを目指す人のための本であり、翻訳・通訳・

語学教師を目指す人のための本です。

それぞれの仕事の内容、必要な資質、勉強の仕方、仕事の見つけ方、

外国語毎の需要などが書かれています。

 

第6章の「語学専門家になるための勉強法」と第7章の「語学学習

メソッドの種類と特徴」で、語学学習法について書かれています。

 

面白いと思ったのは、

1.文法力の定義

2.講師とテキストの選び方

です。

 

著者の言う文法力は、次の質問に答を持っているかどうかということです。

 

・名詞を使うとき、その名詞を単数にするか、複数にするかの判断。

また冠詞をつけるか、つけないか。つけるのならどの冠詞をつけるか。

・動詞を使うとき、日本語では形式的には現在形(非過去)と過去形しか

ない動詞を、もう片方の言語で時制がたくさんある場合、どの時制を使って

表現するか。

・前置詞をどう選ぶか

・単語の並べ方をどう決めるか

・類義語があったとき、最もその文脈にあった単語であるかどうかを、

どのようにして知るか。

(82ページ)

 

いずれも難しい問題です。

 

講師については以下のように書いています。

 

語学教師は基本的にバイリンガルであるべき(37ページ)

日本語のできない、ネイティブなだけの外国人教師についてしまった

時には、多くを期待せず、基礎力はあくまで自分でつけることとして、

自分の覚えた言い回しなどを練習するための知的な会話の練習台と、

自分が書いた作文のプルーフリーディング(添削)以上の能力を期待しない

ことです。(39ページ)

 

作文を講師に添削してもらうのは、既にご紹介したシュリーマン

ロンブ・カトーもやっていました。

外国語学校で作文添削コースに申し込むと結構な値段がしますが、会話

コースや文法コースのネイティブ講師で、作文添削をしてくれる人を

見つけたら、できる限り利用しましょう。

 

テキストについて、以下のようなくだりがあります。

現地の学者が書いた教科書にはよい点もあるが、しばしば日本人学習者が

必要としている情報が欠如している (203ページ)

 

同じことをロンブ・カトーは次のように言っています。

「どんな言語を母国語とする者も、外国語を学習する際には、自分と

同国の人によって書かれた教科書を用いるべきです。この点が大切なのは、

同じ言語を学習するにしても、異なる国の人は、学習に際して異なる点で

難しさを感じるものだからです」(「わたしの外国語学習法」178ページ)

 

結局のところ、講師にしてもテキストにしても、日本語を知らない人に

よるものであると、日本人がどこで躓き、何が分からないかについての

配慮が為されないと言うことです。

 

初級レベルでそのような講師に当たると、学生側がなぜ分からないかが

分からず、学生側も、質問をするだけの語学力がなく、進歩が期待でき

ないと言うことになってしまうわけです。

 

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■感想

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この本を読み返してみて、最も響いたのは 72p の「お金になる語学力

とは」と言う章です。

「プロとしての語学力とはなにかと一言でいうと、二つの言語間の翻訳

能力です。この翻訳という言葉の中には口頭での翻訳も含まれます」

 

語学スペシャリストでなければ、旅行であっても、洋書を読む場合で

あっても、訳す必要はありません。

 

今年の四月に、通訳学校の一日お試しレッスンに参加したのですが、その

時にも同様のことを強く思いました。

また、訳すという場合、逃げ道がなくなるというのも重要なポイントです。

 

個人として外国語を聞いている場合は、自分の興味に応じたフィルターを

かけてしまうので、重要ではないと思うところは聞き流してしまいます。

しかし、通訳になるとそれは許されず、100%を聞き取り、それを100%

訳して口に出さなければなりません。

 

「100%」という部分は、通訳としては当たり前のことなのですが、自分の

身に引き寄せて考えていなかったことに気づきました。

 

外国語を使っている場合に、インプットについては自分でコントロール

できないですから、来るものをそのまま受け止める必要がありますが、

アウトプットについては、自分でコントロールが可能です。

 

我々が日本語を使っている時にも、漢字の記憶が怪しければひらがなで

書くでしょうし、外国語で単語を知らなければ、別の言い回しを使ったり、

時には違う話題に引っ張りこんだり。

 

(インプットについても、自分の興味のないものとか分からないものは、

そもそも最初から読み聞きしようとしないという選択が可能です)

 

すなわち

 

・我々が「外国語が出来る」と思っている場合でも、アウトプットに

ついては「逃げ」の戦略を取っている可能性がある。語学スペシャリストに

なるためには、逃げを許さない、圧倒的な(100%の)外国語能力を身に

つける必要がある。

 

ということです。

 

これまでご紹介してきたシュリーマン、ロンブ・カトー、ピーター・

フランクルもそれぞれ、翻訳することを学習に取り入れています。

 

 

目についたものを外国語に訳してみるというピーター・フランクル

やり方や、本書の「自分がふだん使っている日本語をすべて外国語で

いえるか、一度チェックする」(114ページ)というようなアプローチは、

逃げを許しません。

 

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■おまけ

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著者の猪浦道夫氏は、新宿三丁目でポリグロット外国語研究所を主宰して

います。

ホームページはこちら

http://www.polyglot.jp/

 

私は2003年の1月に、そこの「イタリア語・強烈ボキャブラリー Power

up セミナー」に初めて参加し、著者と出会いました。

 

他の外国語学校が一定期間通う授業が中心である中で、ここは単発の

週末セミナーを多数開催していることから、その後も「ラテン語入門」や、

「イタリア語冠詞セミナー」など、いくつか参加しました。

 

さらには、同研究所のメルマガに、実践金融イタリア語講読と、実践金融

フランス語講読の記事をしばらく書かせて頂きました。

精読と「訳す」トレーニングとなり、イタリア語・フランス語の検定試験

準備にとても役立ちました。

 

 

 

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発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

次はドイツ語かフィンランド語か。

 

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

─著者ブログ 他─────────────────────────

『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/

『語学の虎の巻』(当メルマガ バックナンバー他)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/

──おまけブログ───

『宝庫』(語学関連以外の日々の発見)

http://d.hatena.ne.jp/shibutora/

mixi やってます

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