2007-11-06

■ [メルマガ]017号　「英語の壁を突き破る５つの非常識な常識」 00:13

ランキング参加中です。こちらもクリックで応援お願いします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

英語・仏語・伊語　トリプル三冠王による

語学の虎の巻　[書評]　英語・外国語学習法 　－ 017号 －

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

みなさんこんにちは、寅彦です。

このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今週の本　「英語の壁を突き破る５つの非常識な常識」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

買う??: ★☆☆☆☆

このメルマガを読めば十分です。興味を持ったら立ち読みで。

実行可能度:　★★☆☆☆

聞き取り訓練にポータブルオーディオ、PCを使います。

お持ちの方は活用しましょう

「英語の壁を突き破る５つの非常識な常識」　高木雅邦　

エクスナレッジ　2005.07　　

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/4767804167/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■エッセンス

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

１．自己暗示で英語へのマイナスイメージを取り去る

左脳が休んでいるときに右脳に働きかける

　－寝起き３０分に自己暗示と音読

　－ほろ酔いの時にリスニング

２．リスニング力を鍛えるには、だらだらと文章全体を聞いていくのでは

なく、もっとコマ切れに分解して音をとらえていくトレーニングが必要　

(85ページ)

３．ヒアリングの素材に生きた素材を使う

４．語学力以前のコミュニケーションの問題を解決する

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■内容

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「非常識な常識」として、著者は６０の項目を提案しています。

「日本初の英語耳実践コンサルタント(英語耳研究家)」という肩書の著者

ですから、本書も聞き取りの強化が中心となっています。

自己暗示により英語を好きになる(著者はそもそも「大阪にある催眠センター

のようなところにお願いして、英語がうまくなるよう暗示を入れたオーダー

メードの催眠テープを作ってもらった」(187ページ))というのは別にすると、

結局のところ、英文通りに聞こえない(そもそも英文通りに発音していない)

という問題に対し、音声をコマ切れにして聞くことで音の変化のパターンを

理解することを提案する本です。

そうであればその分野に特化した本がいろいろ出ているのでそちらを使った

方が効率的でしょう。

興味深かったのは、ヒアリングの音源を「なじみのある声にする」という

ものでした。(104ページ)

自分の声や好きな人の声で作成した音源は、なじみやすく心地よいので吸収

しやすいと言うことです。

また、生きた教材作りを重要視し、例えば海外旅行の時にICレコーダーを

持参して自分の(周囲の)会話を録音して帰ってくるという態度は見習わない

といけないかもしれません。

最後の章は、「日本人の考え方、コミュニケーションの取り方が特異なので、

それを理解し英語のコミュニケーションルールに則るべし」という良くある

議論なのですが、「日本人に生まれて不幸であることを知る」(168ページ)

とまでの卑屈な態度には不快感を持ちました。

さらには、外国人すなわち英語を話す人、英語を話す人すなわち英米人と

いった極端な単純化が行われているような気がして、しっくり来ません

でした。

この章は「非常識な常識」ではなく「非常識な非常識」という感じです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

感想

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本の帯に書かれたモニターの感想に「今までの100冊以上の英語本を買って

きましたが、この１冊があれば後は捨ててもいい。そう思える内容です」と

あったので、「このメルマガが最終号になるかもしれない」とビクビクして

いました。

読後の感想は「100冊以上捨てるのでしたらお引き取りします」というもの

でした。

外国語学習法の本を読むときに気をつけないといけないことはいろいろある

と思いますが、著者の略歴を見て、自分の学習環境との違い、目指している

英語の違いを認識する必要があります。

本書で目指しているのはネイティブキッズやカフェスタッフまでを含めた、

現地の生活に根ざした英語です。

そのような英語を目指すのであれば、著者が推奨する映画DVDを利用した

勉強法も有効でしょう。(専門分野の英語よりも日常会話の方が難しいとは

良く言われるのですけれど)

また、この本では(日本の多くの本がそうであるように)米国発音を基準に

しています。

(それ自体は悪いことでは無いのですが)

米語アクセントであれ、英語アクセントであれ、インド英語アクセントで

あれ、学習初期においては一つの体系で発音を習得することだけが重要です。

それがたまたま米語だったとしても、それは戦後学校教育が米語をベースに

行われてきたとか、学習材料が入手しやすいとか言うだけのことで、米語

アクセントが優れていると言うことではありません。

(女性の米語アクセントは色っぽいと思うことはありますが)

その意味で、英会話学校の講師が毎回替わり、いろいろなアクセントを聞く

ことになるというのは、学習初期の人には有害だと考えます。

ということで著者に戻るのですが、巻末の略歴ではどのような英語環境に

いた人か、どの程度英語ができる人か良く分かりません。

「日本初の英語耳実践コンサルタント」という肩書きも良く分かりません。

英語耳と言えば松澤善好さんが有名ですが、どうも全く関係なさそうに思え

ます。

巻末に記載されたホームページ

http://www.eigomimi.com/

も不思議ですし、同じ著者の本の題名を見ても、良く分かりません。

(ご参考)　著者の発行タイトル

「ネット錬金術マル秘ネタ本」「ホームレスから１億円稼いだ成功法則」

「”儲け脳”のつくり方」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■おまけ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

先日ご紹介した「日本人の英語」のマーク・ピーターセンが、「英語の壁」

という本を2003.7.に出しています。(文春新書)

もちろん、直前に出た「バカの壁」(2003.4　新潮新書)を意識したもの

ですが、今回の本のタイトルも「英語の壁」を意識したものでしょうか

(２年も間が空いてしまいましたが)。

「英語の壁」の後は、「英語の阿部」とか「英語の矢部」とか、「英語の鍋」

という本が出てくるのかも知れません。

本書で面白かったのは、「リスニングのトレーニングは寝起きとトイレと

食事の時だけという超多忙な人」の話でした(106ページ)。

調子が出てくると「ときには30分～１時間もの間こもることもあった」

とありましたが、超多忙な人が30分～１時間もトイレにこもっては

いけませんね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

発行者略歴

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ)　(ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の３カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定１級、EUのC2レベル試験)を達成した。

肩こり解消法を探しています

─────────────────────────────────

メルマガ名：　語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 ： 澁澤寅彦　( shibu.tora@gmail.com)

発　行　 ：　まぐまぐID＝ 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

─著者ブログ　他─────────────────────────

『語学の方程式』（語学関連の日々の活動と発見）

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/

『語学の虎の巻』(当メルマガ　バックナンバー他)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/

──おまけブログ───

『宝庫』（語学関連以外の日々の発見）

http://d.hatena.ne.jp/shibutora/

mixi やってます

http://mixi.jp/show_friend.pl?id=632399

─────────────────────────────────

─────────────────────────────────

・無断転載はご遠慮ください

・お友達への転送はご遠慮なく

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━