語楽カフェ

趣味としての外国語学習

2007-12-11

[]022号 「『超』英語法」 11:53 022号 「『超』英語法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 022号 「『超』英語法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 022号 「『超』英語法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

 

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 - 022号 -

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このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

 

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■今週の本 「『超』英語法」野口悠紀雄

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買う??: ★☆☆☆☆

各章の終わりに「まとめ」がありますので、これだけ立ち読みすれば

足ります。

(それ以前にこのメルマガを読めば足りると思います)

 

実行可能度: ★★★☆☆

音の変化について学ぶことは必須(ただし本書ではなく別の参考書で

やりましょう)

スピーチの聞き取り、暗記は良さそうです。

 

読んで頂きたい方:

仕事で英語を使う方

 

「『超』英語法」野口悠紀雄

講談社 2004.03  

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/4062122669/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

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■エッセンス

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実用英語の訓練は話すことではなく聞くことである

子音の消失と連結がポイント。

 

仕事に使う英語に必要になるのは挨拶用語ではなく専門用語

 

通勤時にリスニングの練習。シャドーイング。二年間続ける。

使用するのは、演説、ニュース、オーディオブック

 

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■内容

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この本の重要点は、以下に集約されると思います。

 

「第一に、実用的な英会話のために必要なのは、『聞く訓練』」であり、

『話す訓練』ではない。そして『聞く訓練』は、自分だけでできてしまう。

というより、そのほうがはるかに効率的だ。ここには、英会話学校の出番は

ほとんどない。

 

第二に、実際の仕事で必要になるのは、その分野の専門用語や特殊な表現だ。

では、仕事に必要な専門学校を英会話学校で教えてくれるだろうか? 

普通は、そうはならない。一般的な日常会話ができるだけで終わりになる

だろう」(24ページ)

 

世の中の英語教育が、英語教育の専門家(ビジネスの専門家ではない)により

行われていること(時にはネイティブだと言うだけで、英語教育の専門家でも

ないひとにより行われていること)から、そこで教えられるものは我々が必要と

しているものではなく、彼らが教えたいもの、教えられるものを供給して

いるということだという視点は興味深いです。

 

『聞く訓練』が重要というのは、話すことは相手がいるので相手を上手く

利用して進めることが出来るが、講義や、会議などで一方的に聞く場合は

逃げ場がないので、聞く力を付けなければならないと言うことです。

 

方法論としては、第3章において、子音の消失と連結についてカタカナを

用いて説明し、第4章ではリズムとアクセントの話をします。第5章では、

ネット上の様々な音源を用いて通勤時間中のリスニングを提案しています。

 

学校英語で発音指導が弱いという話は以前にも書きました。

中津燎子「なんで英語やるの」にあったように、文字から単語、文、文章

という音の訓練の流れは重要です。

この過程で音の消失や連結について学ぶわけですが、そのルールが分かれば

発音も良くなりますし、聞き取りも容易になります。

 

二番目のポイントの、専門用語を具体的にどのように増やすかについての

記述はありません。

 

専門用語が分からないと、専門家同士の会話は成り立たない。逆に専門用語

さえ分かれば、同じ専門家同士の意思疎通ができる。(41ページ)

 

世の中にたくさん出版されている「ビジネス英語」のテキストが、実は

ビジネスの世界での日常会話であるものがほとんどで、専門用語に関しては

金融くらいしか出ていないような気がします。

 

同様に、仕事に使える英語を目指すので、「スラングはわからなくてもよい」

「方言はわからなくてもよい」(64ページ)となり、これは正しいアプローチ

だと考えますが、地域特有の発音やイントネーションも方言とくくってしまった

上で、「非英語圏の人々が話す訛りの強い不正確な英語は聞き取りにくい」

というのは言い過ぎと考えます。

 

先週ご紹介した鈴木孝夫「日本人はなぜ英語ができないか」(岩波新書)の

58ページで批判されていた態度です。

 

 

第3章の「これさえわかれば英語が聞ける(その1)」の子音の消失と連結の

説明は、重要なポイントなのですが、カタカナ表記で説明をしていることで

効果が激減です。

「発音記号よりカタカナで書く方が実際の発音に近い表現が出来るのだ」

(104ページ)とあるのですが、理解できません。

 

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■感想

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著者は英語のユーザーとしての立場から本書を書いています。

 

英会話が一つの産業として成立している現状、「産業として成立するビジネスで

あれば、一般的に、『供給者の論理』が支配的になる。学ぶ側としては、その

論理を見抜き、それに陥らないように注意する必要がある」(24ページ)と

言う指摘は、経済学者らしいものです。

 

もちろん英語教育の専門家ではないが故の限界もあります。

(41ページ)「英語ユーザーの視点からすると、母音の発音は最重要事では

ないのだ。聞き取りという問題に限っても、私の経験から見て最大の問題は

子音の消失と連結だ」という断定は危険です。

 

優先順位は別にして、子音と同じくらいの重きを母音に置いてもらいたい

ものだと思います。

 

65ページに著者が標準のアメリカ英語は聞き取れるが、アメリカ南部の英語、

イギリス英語、オーストラリア…の英語が聞き取れないという話が出て

きますが、これらはまさしく母音を疎かにしているからだと私には思えます。

 

本書の終わりの部分にも経済学者らしいくだりがありました。

 

今度のアメリカ滞在から帰国した後は、仕事で英語を使う機会はあまり

ないだろう。だから、投資としての勉強はあまり意味がない(少なくとも、

若いときに勉強したような意味はない)。しかし、勉強そのものが面白くて

たまらない。これは、「消費」としての勉強である。(第7章「わたしは

英語をどう勉強してきたか」)

 

本書は、仕事で英語を使う人をターゲットに書かれていますので、その

人達にとっては英語学習は投資でなければいけないということです。

 

趣味で外国語を学ぶ人にとっては、消費でも構わないのですけれど。

(そうであっても、賢い消費者になる必要がありますが)

 

投入する時間と金額に見合うだけのリターンを得られると思わなければ、

そもそも英語/外国語の学習を始めてはいけないのでしょうし、投資前、

投資の最中、投資のあとに、計画通りの結果が出たかどうかについて厳しく

評価されるべきところです。実際は吟味されぬまま流されているところに

問題があるのでしょう。

 

かく言う私の外国語学習は、かなり趣味の部分があることで、限りなく

消費に近いのですが。

 

著者は「『超』整理法」や「『超』勉強法」などの『超』のついた著書で

有名ですが、本書に『超』が付くのは良くわかりません。

本書が発行された2004年には新しい内容だったのかも知れません。

 

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■おまけ

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本書で紹介されたネット上のサイトへのリンクが以下の講談社のページに

あります。

http://moura.jp/lifeculture/english/

 

スピーチについては、私はAmerican Rhetoric の Online Speech Bank を

時々使っています。

http://www.americanrhetoric.com/speechbank.htm

 

専門英語の習得はなかなか悩ましいのですが、NPO法人国際科学技術英語

協会が、今週末12/15(土)に、科学技術英語についての実践(実戦)英語

フォーラム交流会をお台場で開催するというので、そちらに顔を出して

みる予定です。

詳細はこちら

http://plaza.rakuten.co.jp/istetoest/

申し込みは12/13正午くらいまで大丈夫のようです。

参加希望の方は、fax にて主催者宛、或いは私にメールでご連絡ください。

 

12/17(月)、都内で忘年会計画中です。

ご興味のある方はご連絡ください。 

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発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

初期の椎間板ヘルニアと診断されました。

 

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

 

─著者ブログ 他─────────────────────────

『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/

 

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──おまけブログ─────────────────────────

『宝庫』(語学関連以外の日々の発見)

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