語楽カフェ

趣味としての外国語学習

2008-02-19

[]030号 「話せるだけが英語じゃない」 00:24 030号 「話せるだけが英語じゃない」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 030号 「話せるだけが英語じゃない」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 030号 「話せるだけが英語じゃない」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

  

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 - 030号 -

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このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

 

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■今週の本 「話せるだけが英語じゃない」

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買う??: ★★★☆☆

買って頂きたいのですが、売っていません。

良く見たら、バーコードもISBN番号もありませんでした。

 

実行可能度: ★★★☆☆

“Read & look up”、”reproduction”は興味深いです。

 

 

「話せるだけが英語じゃない」 小川芳男

サイマル出版会

アマゾンは中古のみです。

http://www.amazon.co.jp/dp/B000J7YEMY/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

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■エッセンス

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以下の章立てとなっています。

 

一部 話せるだけが英語じゃない

 1章 「使いこなす英語の時代」 

 2章 運用能力を高める6つの基本

 3章 日本人にふさわしい英語

二部 学校英語の活用法

 1章 学校英語は役に立たないか

 2章 親の悩みに答える

付論 外国人が日本語を学ぶ時代

 

 

副題に「学校英語の活用法」とあるように、学校英語を基礎に置くのですが、

著者は「英会話は学校教育でない」と考えています。

ただし、この基礎がしっかりしていれば、いざ会話を習いに行ったとき、

或いは英語の参考文献を大量に読む状況になったときも、短期間で対応できる

としています。

 

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■内容

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早期英語教育、外国人向け日本語教育の話も興味深いのですが今回は省略

します。

 

一部2章の「運用能力を高める6つの基本」は、以下の内容です。

 

1. ながら族のすすめ - Hearing

ヒアリングのトレーニングにおいて、聞き流すことについては容認派、

反対派があります。

アルクヒアリングマラソンなどは聞き流し容認派ですし、「英語は絶対

勉強するな」は反対派でしょう。

著者は「言語の本質的なものはことばのリズム=トーン(tone)ですから、耳を

慣らせばよい。調子を覚えればよいのです」(41ページ)として、聞くとは

なしに聞くことをすすめています。ただし、「時にはそれを文字で確かめる

ことが重要です」としている点、注意です。

 

2. リズムをつかまえろ - Pronunciation

アクセントのある音節に気をつけて正確に発音することが大切。ストレスの

ない母音は、すべてあいまいでよいということです。(48、49ページ)

 

3. 語源を押えろ - Vocabulary

まず日本語になった英語を取り上げ、それを語源的に広げていった。

(52ページ)

辞書を引いた時に前後を見る、極端に言えば一ページぐらい同じような言葉を

一緒に見るというような習慣をつけるのも良いことです。(53ページ)

 

4. 辞書を手放そう - Reading

速読による多読を勧めている

 

5. 音読で覚える - Speaking

間違ったことを話していても、訂正する人がいないですから、ひたすら好きな

英文を暗記しました。それから、特に私は演説が好きですから、大声で暗唱

しました。(75ページ)

 

マイケル・ウェスト(Michael West)が「困難な状況のもとにおける英語の

教え方(Teaching English in Difficult Circumstances)」の中で提唱して

いる、”read and look up”というやり方を紹介しています。

 

これは、相手がいないときに一人で「話す」ことを訓練するためのやり方で、

読んで(read)、look up すなわち本から目を離すのです。たとえば、I went to

Yokohama yesterday. と読むと、本から目を離して、I went to Yokohama

yesterday.という。これがスピーチになるわけです。目で追っている時は

リーディングだが、look upしていった時は、スピーチだと言うんです。

(78-79ページ)

 

もう一つのやり方は、やはり繰り返し音読し、暗記することです。

 

6. 添削も自分で出来る”暗写” - Writing

書く能力をつけるには、まず名文を暗記する以外にない。その時、声を出す

ことが必要です。(82ページ)

 

著者は”暗写(memorization and copying)”について、Benjamin Franklinの

自叙伝に出てくるreproduction のことであるとして紹介しています。

 

英語の文を日本語に訳す。模範訳がある場合は、自分の訳文をチェックする

一ヶ月くらい放置する。

訳文を元に、日本語から英語に訳す。出来上がったものをもとの英文と

チェックする。

 

 

この6つのポイント以外にも、興味深い記述がいろいろありました。

 

ブレーンストーミングについて

まず自国語でいうことの内容を考える。そしていうべきことができてくれば

それを外国語で学ぶと言うことを方法です。(11ページ)

会話やスピーチのレッスンでつっかえた場合、母語でなら言えるのだが外国語

だからつっかえているのか、そもそも母語でも言えないのかという問題点の

切り分けをすることは重要だと思います。

 

・東南アジアだとか、フランスやドイツなどの英語教育は日本人にとって

参考にならないと思います。母国語が語族的に英語と同じなのですから。

日本人の中には、アメリカへ行って英語教育法を習ってきて、日本の中学や

高等学校へそのまま導入しようとする人がいる。とんでもないですよ。

(17ページ)

 

ソ連や中国の英語教育において、自国の紹介を題材としている教科書を

紹介しています。

このあたりは鈴木孝夫的ですが、「実用としての英語を身につけるためには、

身の回りのことを題材にしなければならないという原則にのっとっている

わけです」(20ページ)とあります。

確かに、英語を通じての国際理解という観点から、英語の教科書に食糧危機の

話とか、温暖化の話とかが入る傾向がありますが、自分が使ってみようと

するときのヒントとなるためには、教科書の内容が身近なものである方が

使いよいでしょう。

 

・中国では自国語と外国語の両方を駆使できる能力を、第五能力といって

いるんですよ。(24ページ)

これは、以前ご紹介した山田雄一郎「英語力とは何か」の英語力の定義に

合っていますね。

 

・語学の学習で大切なことは一日一善的に毎日少しずつやることも必要ですが、

それはある程度語学の力がついて後のことで、ある一定の段階までは、集中的に

やることが必要だ(119ページ)

 

 

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■感想

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25年(四半世紀)以上前の本ですが、古さを感じさせません。

結局のところ、学習者の態度もそれを取り巻く環境もこの間、ほとんど

変わっていないと言うことかもしれません。

とは言いつつ、発音練習の音源についての記載が、CDでもカセットテープ

でもなく、「レコード」となっていたのには時代を感じました。

 

表に出てきませんが、「まえがき」によればインタビューしているのは

サイマルの小松達也さんとのことです。

 

独学英語から学校英語教育、早期英語教育、外国人向け日本語教育まで

網羅され、英語教育の大御所である小川ワールドの全体が見える本だと

思いました。

 

本書を近所のブックオフで見つけたのは幸運でした(しかも105円で)。

図書館で見かけたら是非手にとってください。

 

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■おまけ

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ビジネスマンなど一般の社会人も文学を学ぶ必要があるという記述があって、

そこに、「自分のビジネス文書の基礎は、大学の時に教わったHenry

Thoreau の『Walden - 森の生活』がすべてである」と言う人が

登場します。

私の本棚でホコリをかぶっていた本でした。

読み始めます。

 

Henry David Thoreau “Walden; Or, Life in the Woods”

http://www.amazon.co.jp/dp/0486284956/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

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発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

東京マラソンは風邪が抜けず不参加。

 

 

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 (shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

 

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