「あなたと溶けて一つになりたい」「それは大きな勘違い」
「あなたと溶けて一つになりたい」「それは大きな勘違い」
朝方、駅に向かう途中の片側四車線の大通りの外側の車線には、たくさんの大型トラックが停まっています。
工事現場に向かう前の時間調整をしているのだと思います。
トラックの正面に多く見かける文字はFUSO。
三菱ふそうです。
以前、車体の欠陥でタイヤが脱輪した事故がありました。
その時も FUSO という文字を見て、イタリア語のfondere (溶かす)の過去分詞 fuso を想い、「あぁ、車軸が溶けちゃったのか」と考えたのでした。
はてさて、英語では何だったろうかと考えて、fuse という単語が出てきました。
日本語で「ヒューズ」とされているので、「h」から始まるのだろうと勝手に思いこんでいて、fuse がすぐに出てきませんでした。
fuse は「電気回路に挿入し、過大な電気が流れると溶けて、回路を遮断する可溶性合金片」(広辞苑)です。
自分が溶けることで世界を守るという見上げた奴です。
そんな人がいる横で、「あなたと一緒に溶けて一つに」などと言うのは、con- (一緒に) fuse (溶ける) = confuse で、大きな勘違い、混乱です。
confuse と confuse し易い単語に、Confucius (孔子 中国の思想家 儒家の祖)があります。
音も 「こんふゅーしあす」で、「こんふゅーしあす」いです。
(フランス語の形容詞形 confus が最後のsを発音しないことで「こんふゅ」となるので、まさしく「confus」し易いということになります)
どうして孔子にこのような confusingな綴り/音を当てたのかと悩むわけですが(中国語読みがそうだったということなのかも知れませんし、説が難解だったと言うことかも知れませんが)、着目すべきは、confu までが語の要素なのではなく、confus であるということです。(多分)
接辞、語幹(語感?)で語彙を増やすのはパワフルなツールだと思いますが、きちんと覚えないと confusing なことになるという例だと思います。
また、身の回りのカタカナ語(今回は「ヒューズ」)を正しく原語に直して覚えていくという語彙増強のアプローチの有効性も感じられた出来事でした。
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