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そう言えば2005/2007年問題というのがあった 時代は国際会計基準 (IFRS)らしい (その34)

 
欧州に上場している日系企業にもIFRSが適用になると言って大騒ぎした時期がありました。
たまたま当時日本の証券会社の経理にいたこと、たまたま以前ユーロ債の引き受けをやっていた時期があったことから、関連のEUの資料を20センチくらい読んだ時期がありました。
 
IFRSそのものと言うよりは、EU Directiveの解釈をどうするかという問題だったのですが、日本へのIFRS導入にもちょっと関係あるかも知れませんので、書いておきましょう。
 
IFRSが上場企業に適用されるのですが、ポイントは「上場とは」ということでした。
 
1.何を上場しているのか
欧州においては、株式は上場していないが債券を上場している会社がたくさんあって、その中には日本の会社の現地子会社がたくさんありました。
また、いわゆるユーロMTNにおいては、プログラムを上場しているが個別の債券は上場していないケースもありました。
 
実際は限られた投資家向けのターゲットディールであっても、(日本の)投資家側の内規で「上場ものにしか投資してはならない」とある場合に債券を上場にする必要があるのです。
 
と言うわけで、債券だけ上場していた企業が慌てたわけで、そこに乗じて、(EU Directiveの効果の及ばない)スイスやシンガポールの取引所が「うちに上場しませんか」とセールスをしていたのでした。
 
日本の証券会社にいた私ですが日本の市場は良く分からないのですが、東証のページの社債の上場基準(リンクはこちら)を見ると「社債等の上場審査基準としては、発行者については上場会社であること」とあるので、社債だけ上場という問題は起きないのですかね。
 
 
2.上場と取り扱われる取引所とは
EU Directiveが適用となる取引所がどこかということが問題になりました。
上に書いたように、他国の取引所からの勧誘が来ていたわけですが、結局債券について言えば、ロンドン、ルクスの証取がそれぞれEU Directiveの適用を受けない「プロ投資家向け市場」を作って、発行企業がそちらに移ることで問題が解決したのでした。
ルクスのそれは 「Euro MTF」 という市場です。(ロンドンのは思い出せない)
導入の際は、日本の投資家は Euro MTFへの上場が「上場」の定義に当てはまるのかどうかという検討をしていました。(内規との関係で)
 
株式についてはロンドンにはそれ以前から AIM という市場がありましたが、こちらもEU Directiveの適用対象外となるように変更されました。(From 12 October 2004, AIM ceased to be classed as a ‘regulated market’ under EU Law and became an ‘exchange regulated market’.)
 
 
3.日本へのIFRS導入に関して気になったこと
債券のみ上場というケースは無さそうなので少し安心しましたが
 
・上場ファンドもIFRS適用になるのか
・他に上場商品として対象になるものはないか
 
とか
 
・プロ向け市場として作ろうとしている東京AIM(リンクはこちら)について、IFRSが適用される上場にはあたらないという整理がきちんとついているのだろうか
 
とか気になります。