ロンブ・カトー 「わたしの外国語学習法」(ちくま学芸文庫)
ロンブ・カトー 「わたしの外国語学習法」(ちくま学芸文庫)
寒い福井で読んでいたのは、ロンブ・カトーの「わたしの外国語学習法」(ちくま学芸文庫)
ちょっと長いが表紙カバーにある説明書きをこぴーすると、以下の通り。
14のヨーロッパ系言語と中国語、日本語を、ほとんど自国を出ることなく、純粋に学習という形で身につけてしまった女性の外国語習得術。25年間に16ヵ国語を身につけていく過程と秘訣をつつみ隠さず公開してくれるこの本は、語学の習得にあたって挫折しがちなわたしたちを、必ず目的の外国語は身につけられるという楽天主義に感染させてくれます。通訳者、翻訳者の入門書としても好適。
筆者はハンガリー人である。
決してお笑いのロンドンブーツ1号2号の加藤さんではない。
ハンガリーにはロンドン時代にお世話になった草間さんがご主人の仕事の関係で移られたが、元気でやっていらっしゃるでしょうか。
さて、ハンガリー人には語学の達人が多いらしく、ジェフリー・アーチゃーの短編集「12本の毒矢」の中の「ハンガリー人の教授」に、ハンガリーを一度も出た事が無いのに英語・イギリスについての知識にすぐれた教授が出てくるらしい。らしいと書いたのは、先日読み終えた「より良い外国語学習法を求めて」(松柏社)の最初に書かれていた話だからである。
しかし、ジェフリーアーチャーの実体験をベースにしたものと言われているらしい。
先日読んだ「外国語上達法」(岩波新書)の影響で、語学を仕事としていない僕は、使いこなす言語は日・英・仏・伊の四ヶ国語までかなぁと思っていたが、通訳・翻訳をやる筆者であるから、10ヶ国語の双方向通訳と、6ヶ国語の翻訳を出来るレベルに維持しておくのは可能であろう。
学生時代にドイツ語の成績がビリに近かった彼女の勉強法は、シュリーマンの「古代への情熱」に現れるような学習法に比べてもっと我々に近いものであり、元気付けてくれるものである。
が、週平均して10-12時間を外国語学習に充てなければならないという彼女の意見には、中途半端な気持ちじゃだめだなぁと身が引き締まる思いであった。
通訳志望の方には推薦書である。
94ページから英語の中のゲルマン系とノルマン系の言葉の混合について
小牛、豚、雄牛は、英語で
calf、 swine、 ox
これはドイツ語フ
Kalb、Schwein、Ochs
に近い。
他方、それぞれの肉は英語で
veal、pork、 beef
これはフランス語の
veau、porc、boeuf
に近い。
なぜなら、当時動物の世話をしていたのはゲルマン系のアングロサクソン人だったのに対し、肉を食べていたのは征服者であったノルマン人だったからである。