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趣味としての外国語学習

「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」(黒川伊保子著)新潮新書

「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」(黒川伊保子著)新潮新書

「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」(黒川伊保子著)新潮新書を読み終えました。

著者のホームページこちら

語学学習関連で買い求めたものではなかったのですが、いろいろと考えさせられた本でした。

・「ヒトの脳は、文字列を見ただけでも、その文字列の音を聞いたように聴覚野が活性化することがわかっている(33ページ)」

これについては、かつて2003/12/30の日記で、音読が速読の壁となると書きました。

黙読していても、頭の中で音を出すことで、スピードが上がらないということです。

果たして、この壁を越えた人たち、フォトリーディングなどのテクニックを使っている人たちも、聴覚野は同様に活性化しているのでしょうか。

・「言語モデルが、脳の認識モデルに大きな影響を与えていることも、脳生理学者たちが発見した事実の一つだ(65ページ)」

・「医学博士角田忠信氏の著書『日本人の脳』によれば、欧米各国と韓国ならびに日本被験者のうち、母音単音を言語優位脳、つまり「考える半球(左脳)」で聞くのは、なんと日本人だけ、という顕著な実験結果が出ているのである」

これについては、私のイメージと若干異なります。

科学者コメントを伺いたいところですが、私のバイブルの一つ、バイリンガルの科学(小野博著)講談社ブルーバックスにおいての一貫した主張は、「何語でも良いから言語習得のキーとなる小学校時代は一つの言語で通し、その基盤をベースに第二の言語を作り上げる」というものだったと思いますし、私が現在考えているトコロテンフィルター理論では、日本語英語か、あるいは他の言語かの違いはインプットアウトプットフィルターの違いに過ぎず、脳の働きは最初の言語に左右されないと思っています。

そうは言っても、言語を通して思考の体系を形作っていくわけですから、ある程度言語に引っ張られていく部分はあるとは思いますが、私はそれは、フロッピーディスクWindowsフォーマットするか、Mac OSフォーマットするかの違いのようなものではないかと考えています。(あるいはもっと近くで、IBMコンパチDOSフォーマットするか、NECDOSフォーマットするかの違いかも知れません)

脳のフォーマットの仕方がどうであれ、その上で同じアプリケーションが走って、きちんとインプットアウトプットが出来ると言うことです。

日本語を先にやってから英語を習得したバイリンガルと、英語を先にやってから日本語を取得したバイリンガルの比較研究を待ちたいと思います。