英検1級
英検1級
英検1級というのは、内容も少しずつ変わってきているようですが、やはり難関の試験です。
私は海外に出る前に2回受けて、2回とも一次で不合格。
こいつは一生受からないなぁと思いました。
それが海外から戻ってきて受けたら一度で合格して、しかも成績優秀賞をいただきました。
海外にいたからこのレベルまで上がったと思っていますから、国外に出ずにこの試験に合格される人の努力には頭が下がります。
昔と比べてインターネットなどでインプットの機会は増えたというものの、アウトプットの機会はそれほど増えておりません。大変な努力だと思います。
さて、ここで考えなければならないのは、「合格したらどうする?」ということです。
赤の女王仮説でも書きましたが、同じレベルで留まっているためだけでも大変な努力が必要です。
私のバイブルの一つ、ロンブ・カトーの「わたしの外国語学習法」(ちくま学芸文庫)では、「外国語学習に必要な最低限の時間は、週平均10~12時間なのです(68ページ)」と書いています。
一級合格まで伸ばした力を維持するのは、合格にかけた努力と等しいものです。
棒高跳びのように、一瞬だけ越えればよいものではなく、その高さを維持し続けなければなりません。
果たして受検される皆さんがそこまで腹をくくっているのかというのは疑問があります。
そこまでの意気込みがないと、本当は受けてはいけないのかも知れません。
私は経理部にいるので、経理担当の採用面接をすることがあります。
「5年前にUS CPA(米国公認会計士)の資格を取りました」と言うのは、何も言っていないことと同じです。
その後のメンテナンスをしていなければ、会計基準もどんどん変わり、使えないことになります。
「5年前に英検1級合格しました。けどそれから何もしていないので、レベルは下がってしまいました」というのでは、合格にかけた時間と努力がもったいないことになります。
かくいう私も、日米英の証券アナリスト試験に合格するのにかなりの時間とお金を使いましたが、ほとんど私の頭には残っていません。
私のもう一冊のバイブル、「外国語上達法」千野栄一著(岩波新書)には、四技能のどれを、どのレベルまでやるかという方針設定の重要性について語っていて新鮮でした。
すべての英語学習者にとって見れば、必ずしも1級が最終目的ではないかも知れません。