外国語は母語を超えられない
外国語は母語を超えられない
「外国語は母語を超えられない」と何冊かの書物に書かれていました。
いずれの場合も、何の説明も論拠も無しに、言いっぱなしです。
感覚的には、「英語が日本語よりうまくなることはないだろうなぁ」と思うのですが、言い切るためにはいくつかの前提が必要だと思います。
1.母語は超えられないと言う場合に、母語は何歳で確定するのでしょうか。
良く言われる「小学校高学年」という時期がそれだとすると、中学に入ってから海外移住した人は、決して「小学校レベルの」母語を超えて新しい言葉を習得できないということになります。
2.「超えられない」と言う場合、何の分野で超えられないと言うのでしょう。
語彙というのであれば、海外暮らしが長くなればいつの間にか小学校レベルを超えた語彙を、(母語にそれに該当するものを見つけないまま)外国語でどんどん増やしていくと思います。
ネイティブに近い発音という意味では正しいかも知れませんが、相手に伝わるなら発音は気にしないという立場であれば、これについても積極的な論拠にはならないと思います。
このような分析無しに、「外国語は母語を超えられない」と言い切る態度には反発を感じますし、むしろそうではないケースがあるのではないかと思っています。
ただ、我々日本人において、外国語の運用能力の高い人の多くは、日本語の運用能力も高いことが多いと思います。
よって、まずは身近な日本語能力を高めることが外国語能力を上げる近道だと言うことを言わずに、「外国語は母語を超えられない。よって日本語を鍛えなさい」と言い切るのも、プレゼンの仕方としてはありかなと思います。