「誰がこの国の英語をダメにしたか」澤井繁男著(生活人新書)
「誰がこの国の英語をダメにしたか」澤井繁男著(生活人新書)
「誰がこの国の英語をダメにしたか」澤井繁男著(生活人新書)を読みました。
ブックオフで350円でした。
イタリア・ルネサンスが専門でありながら、駿台予備校で英語を教えるという変わり種の著者。
Amazon でのレビューはあまり好意的ではないようですが、私は面白かったです。
受験生の語学力の低下も問題だが、高校の英語教師の英語力も低下している(49ページ)
大学が入試問題を作れなくなっていて、予備校が問題作成を請け負う話。それほどレベルの高くない大学であっても見栄を張って難しい問題を作ってしまう話。(130ページ)
こんな先生がたくさん中学・高校にいれば、日本人の英語力は伸びることでしょう。
著者は英語公用語論には反対なのですが(170ページ)、先日の「あえて英語公用語論」船橋洋一著 文春新書 を読んだ後では、両者の主張はそれほど離れていないのかも知れないと思いました。
賛成論者は、20年/30年後に英語が使いこなせる人を増やすために、どうやっていけば良いかと言っているのに対し、著者は「現時点で」 教えられる先生がいないから無理だと言っているような気がしました。
著者の意見で賛成できなかったのは、他の著者の本についてのコメントでも書きましたが、「母語で語れる以上のことを外国語で語ることはできないし、母語で理解できる以上のことを外国語で理解することはできない。さらにいえば、どんなに外国語だけで理解しているつもりの人がいるとしても、それは実は、母語との参照関係の上で理解していることに無自覚なだけだと言いたい」(89ページ)というくだりです。
どちらかと言えば「あえて英語公用語論」の方が面白いので、まずはそちらからお読みください。