東京外国語大学
東京外国語大学
東京外国語大学の鶴田教授にお誘いいただいたので、講演会「米国務省における通訳者教育」という講演会に行ってきました。(京王線の飛田給の駅から遠い!!)
米国国務省英独上級外交通訳官の David Sawyer 氏のお話は、「さすがにアメリカはちゃんとやっているね」という感じでした。
会場は100人以上が集まる盛況で、学生の同時通訳も素晴らしかったです。
鶴田教授のご厚意で、スピーカーと学生との懇親会/ラウンドテーブルにも参加させていただきました。
2時間のディスカッションはとても刺激になりました。
学生の皆さん、若い!! (当たり前か)
私が学生の時はこんなに話せなかったなあと思いながら、隣にいた学生さんに話しかけました。
学生さん「でも英語ができるのと通訳が出来るのとは全く別ですから」
お見事です。ずっと先の目標をしっかり見据えています。
(そうですね。私も英仏伊語ができるだけですからと嫌なオヤジ)
私は二つの質問をしました。
1.スピーチを聞いたり、本を読んだりする際に、そこで使われた単語やフレーズまでしっかり覚えている人と、内容しか覚えていない人がいるが、あなたはどちらのタイプか。昔からそうか。
2.一つの言語ペア(例えば英日)において通訳技能を身につけたら、その後はそのスキルは、別の言語ペア(例えば仏日)の通訳に関して、応用が利く技能か。
1については、外国語に限らず日本語/母語に於いても、人によっては単語・フレーズをしっかり覚えているのに、(私を含め)内容しか覚えていない人がいるという事実がある一方、鶴田さんの「リーダーの英語」などのように、素晴らしいスピーチを集めて出版する人もいるわけで、それが通訳をやる際に不可欠な技能なのではないかと思ったことによります。
また、それが後天的に習得可能な技能かどうか。
ソーヤー氏のコメントは、1.彼自身は内容とそのつながりに気をつけている。2.記憶の力は鍛えることが出来る。というものでした。
Word / substance の問題は昔から大きな問題のようです。法廷通訳/翻訳などは内容よりも word for word で訳す必要があったり。
私のフィルター理論のピュアな形では、言語に引っ張られない通訳/翻訳が可能なわけですが、そうは言っても、その言語の表現に引っ張られなければならないケースもあると鶴田さんは言っていらっしゃいました。
この質問は、最近気になっている、「外国語の技能とは」という問題にもつながっています。
単純化された読む聞く書く話すの四技能以外に、多くの技能がそこには必要とされます。
同様に、この質問は、インプットだけでアウトプットが出来るようになるかという疑問にも関わっています。
インプットだけで単語・フレーズが記憶できる人は、そうでない人と比べて容易にアウトプットに応用していけるのではないでしょうか。
2つめの質問は、通訳の技能の中心は外国語に依存しないベースの能力ではないかと思われたことと、とりあえず僕が英日のペアで通訳を勉強したら、そのスキルは仏日、伊日、あるいは英仏などの言語ペアにおいて容易に生かせるのではないかと考えたからです。
回答としては、基本の部分は再利用可能であろうということでした。
言語に特有のスキルというのがあるようですが、一つめ外国語の二つめの外国語の近さもあるでしょう。
この質問も、「外国語の技能」を細かく定義したいという思いから来ているものです。
通訳学校のパンフレットをいくつか取り寄せて、土曜日コースの検討を始めました。