日本通訳翻訳学会 年次大会2日目 (3)
日本通訳翻訳学会 年次大会2日目 (3)
午前中最後のセッションは「通訳訓練法と文法訳読法における効果測定」に参加しました。
通訳訓練法を採用した生徒と文法訳読法を採用した生徒とで、授業の前後でのTOEICの点数の伸びを比較したものでした。
統計的に有意な結果では無かったように見えましたが、これは期間とサンプルサイズの問題ももちろんありました。
質問の中で倫理面の課題が挙げられましたが、これが語学教育の効果測定の実験で常に問題になるところです。
後期でcompensateするとの話がありましたがどのようにcompensateするのか(そもそもcompensateが可能なのか、compensateのベースとなる損害額をどのように測定するのか)興味深いです。
別の質問で、
・中高の英語教育で文法訳読法を全員が学んできていると思われるので、結果が純粋に通訳訓練法と文法訳読法の違いに起因すると言えないのではないか
・通訳訓練法がそもそもTOEICに近い訓練法なのでそもそも通訳訓練法に有利な実験なのではないか
というのがありました。
前者には全く合意です。
後者についてはやや違った意見です。
通訳訓練法が(最終気には)二言語間の通訳を目指すものですから、そもそもインプットの能力のテストしかできないTOEICの対策としては、「use a sledgehammer to crack a nut」というようなものではないでしょうか。効果はあるだろうが無駄が多い。
通訳教育の前段階として英語能力を上げることを期待されていて、しかもそれがTOEICの得点で測定されてしまうと言う不幸な状況がそこにはあります。
英語能力を上げるのだけれどその測定ツールとしてはTOEICが最適であるかどうかの議論ができないという状況。
(つづく)
(つづき)
後半は英語活動と脳波の関係。
シャドーイングでは活発に働くのに対し、リスニング、音読ではそれほどでもないという発表。
「上達すれば(自動化されるので)活動のレベルが落ちる」という会場からのコメントはごもっとも。
シャドーイングでは複数の作業を同時にやるので活発で、リスニングや音読がそうでもないというのは想像が付く結果でした。
どこで読んだか忘れてしまいましたが「教科書を読んできてください」というと、国語の教科書であれば内容もきちんと覚えてくるのに英語だと音読(文字を音声に変える作業のみ)はするが内容を覚えてこないとことが多いとありました。
意識的に脳をフル回転させるというのは難しいのでしょう。
シャドーイングのように、そのような状況に追い込むというトレーニングが必要な場合もあるでしょう。
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