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趣味としての外国語学習

時代は国際会計基準(IFRS)らしい (その18)

 
世の中でIFRSについての学習熱が高まっているようですが、何を目的とするかで何を学ぶか、どのように学ぶかが変わってくる気がしています。
 
試験に向けて勉強するのは目標も出来てお薦めなのではありますが、試験範囲は当然のことながら、現在の基準、あるいは数ヶ月前の基準です。
 
私が12月に受けようと検討している ACCAの DipIFRは、年に一回の試験範囲のカットオフがあります。2008/9/30時点の基準が、2009/6と2009/12の試験範囲となっています。
 
また、BATICの試験範囲をホームページから確認すると、Subject 2は「Subject2公式テキスト(2009年度版)の基礎知識と、それを理解した上での応用力を問います。」とした上で「なお、2009年度版BATIC(国際会計検定)Subject2の公式テキストおよび問題集は、2009年1月1日現在有効に成立している、米国において一般に公正妥当と認められる会計原則(US.GAAP)、日本において一般に公正妥当と認められる会計原則及び国際財務報告基準(IFRSS)に準拠しております」としています。
 
USGAAP、JGAAP、IFRSをまとめてテストしようと言うのは、BATICというよりも ACROBATIC(アクロバティック)と言うべきで、テストとしてどんなもんだろうという疑問は強くありますが、ここでは試験範囲が2009/1/1時点で有効な基準ということに着目します。
 
また、日本CFO協会が始める「FASS ベーシック検定」の「財務会計」IFRS完全準拠と書いていますが、基準日についての記載がありません。
問い合わせてみようと思います。(私は日本CFO協会の個人会員になっています。誰でも会費を払えば会員になれるのですけれど)
 
他方、先日の新日本有限責任監査法人IFRSセミナーでもコメントがありましたが、「日本に導入される頃の国際会計基準は現在のものとはかなり異なったものとなっている」という点に注意が必要です。
 
例えばキャッシュ・フロー計算書の作成方法について、現在の基準では直接法が望ましいとしつつ間接法も容認していますが、昨年10月に出た Discussion Paper では、直接法のみを認めるとの記載があるそうです。
 
テストに向けて勉強しようが、国際会計基準基準集を購入して読んでいこうが、Deloitte のe-learningをやろうが、結局は現在(あるいは少し前の)国際会計基準を学ぶことになります。
 
これでは、将来の導入でどのような影響が出てくるか、それに合わせてシステムをどのように変えていこうかというアイディアは出てきません。
このギャップをどのように埋めていくかを考えなければ行けません。
 
きまじめな人は、まずは現行の基準を一通り理解した上で、現在出ているDiscussion Paper他を学ぶことでしょう。
しかし、原則主義と言いつつ分厚い基準集をまず一通り理解するのは一通りと言っても大変な負担です。その後に変更点を検討すると言っても、資料は英語中心となるでしょうし、いずれにせよ独りで全部やろうとするのは無理な気がします。
(二ヶ月お休みがもらえたら一通りやれる自信はありますが)
 
そう考えると、アカデミックにIFRSを学びたいという人を除くと、現在あるいは過去を向いた試験に向けて勉強するというのが、それだけではあまり役に立たないという気がしてきます。
 
US CPAを受けた人で良くありましたが、試験は合格したがその後の基準の変更をフォローしておらず、知識が陳腐化するリスクはここでもあります。
そもそも日本に導入される時点では陳腐化している内容を勉強するというリスクを理解し、その後のフォローの方策についても考えておく必要があります。