Twitter 英語術
Twitter 英語術
著者の晴山さんから献本いただきました。
「じっぴコンパクト新書」という聞き慣れない新書だったので、「かかったコストの実費で販売している新書」かしらと思ったのですが、実業之日本社(略して実日=じっぴ)ということでした。
私にとっての本は三つのタイプに分かれるような気がしています。すなわち
1.娯楽のために読む本 (最初から最後までしっかり読む)
2.情報収集のために読む本 (飛ばし読み、つまみ食い)
3.思考への刺激を得て考えがどんどん拡がって行く本 (考えがあちらこちらに飛ぶのでスピードが上がらない)
3番目の本は読み始めるまではそうだと分からないのが通常です。
この本「Twitter 英語術」はその内容に刺激されて私の考えは色々な方向に飛び始めたのでした。
現在読んでいる「音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)」も激しく私の思考を揺さぶっていますがそれはまた別の機会に。
twitter 自体は2007年に使い始めたのですが、生産的な使い方が発見できず放置していました。
先日読んだ「今ウェブは退化中ですが、何か? クリック無間地獄に落ちた人々 (講談社BIZ)」もまたtwitterに否定的なイメージを持たせてくれました。
そうは言っても、twitterのコンテンツの大多数がジャンクであったとしても、英語学習のためのツールとして有効なものであればそのように使えば良いわけです。
本書を読んでみると、本文は主人公のKeitaのつぶやきが延々と24時間続き、途中で海外の知人とのやり取りが入り込んでくるというものです。
twitterを知らなければ、男の子の24時間分の独り言、あるいは頭の中で考えたことがただ羅列されているだけの本ということになります。
(twitterを知っていてもこれを読むのはなかなかつらいものがありましたが)
舞台が6月5日午前5時から6日午前5時までとなっていて、今年のこの時間に何かが起きるらしいのですが、その「書物とtwitterのクロスオーバーという未曾有のアイデア」を別にして、このような本はこれまでに無かったでしょうか。
Amazonで「つぶやき 英語」で検索するとかなりの本がヒットします。しかも発行日がtwitterができる前だったりします。
そうです。まさに本当に「英語をつぶやいて身につける」というジャンルが既に確立しているのです。
古くはシュリーマンからロンブ・カトー、ピーター・フランクル、私にいたるまで、つぶやき/独り言を外国語学習に取り入れた人はたくさんいます。
外国語学校に通わずに独学しようとすると、独り言でカバーしなければならない分野が出てくるということです。
本書を見てみると、極めて流暢な口語英語で書かれていて(共著者のクリストファー・ベルトンさんが書いているので当然なのですが)、これをいきなりやろうとするとハードルが高くて始める前からギブアップしてしまいそうです。
が、それにとらわれずにまずは始めてみましょう。
twitter が出てくる前にも、オンラインチャットを利用しての英語学習というのもありましたが、twitterは
- リアルタイムでのやり取りも良いがリアルタイムで無くても良い
- 履歴がしっかり残る
という特徴があり、オンラインチャットより英語学習に、より向いていると思います。
本書の途中にMINORIさんの英語twitterの体験談コラムが5つありますが、これは参考になります。
「最初はCNNのアンカーや世界各地の記者、海外著名人達のつぶやきや世界のニュースに触れるのが楽しく、ひたすらつぶやきを読んでいました」(39ページ)とありました。
英語のコミュニカティブアプローチでは、大量のインプットが前提となっているようです。インプットだけであればtwitterにこだわる必要はないと思いますが、興味がなければ外国語学習は続かないので、MINORIさんのやり方は良かったと思います。
さて、問題の「書く/つぶやく」ですが、本書の「『twitter英語術』10カ条」(14ページ)の2番目にあるように、英語のミスを気にせずにどんどんつぶやくのがお薦めですが、「思ったら即つぶやく」というのを追加したいと思います。
英語の試験の時には三単現のSが使えるのに、実際に話す時には使えないという事例が良く観察されるようです。
試験の時はじっくり考える時間があるのに対して、実際の会話では瞬間的な反応が必要とされることから、試験の時にできたものが会話ではできないと言うことです。
もちろん、「ミスを気にせずに」という fluency over accuracy のポリシーで臨むわけですから、「正しく」ということにとらわれてはいけないのですが、将来のどこかのところでaccuracyを上げる必要が出てきます。
中級、上級を目指す中での注意点とすれば
- つぶやきということで話し言葉になることが多い。書き言葉対策をどうするか。
- 文字数の制約で短縮や省略が使用される。普通の書き方対策をどうするか。
- 語るべきことを持つ。スラスラできても内容がなければ。
- 英語にできなかった内容についてどのように言えばよいか調べる、あるいはインプットの際に気をつけておく
- 綴りについても同じ
- つぶやけないと分かった時に回避行動にでる(話題を変える、違う言い回しを使う)ことがあるが、その自分の動きを認識した上でインプットの際に気をつけておく
などでしょうか。
これを読み終えて私がやったことは以下の通りです
- 日本語用と外国語用とでアカウントを分けた
- フォローされたらフォローするようにした
twitterとは関係ありませんが、「起きてから寝るまで英語表現700」などで表現を増やすのも良いでしょう。
私は学生時代にバイト帰りに駅から下宿先までの夜道をテーマを決めて独り言していました。twitterを使うかどうかは別にして、独り言はお薦めです。
著者晴山さんのサイトはこちら
http://y-hareyama.sakura.ne.jp/index.html
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