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IFRSを完全即時適用する日本は大丈夫か − 時代は国際会計基準 (IFRS)らしい (その31)

 
昨日の記事の続きです。
 
「指定国際会計基準」というものを作って、日本で適用する国際会計基準を選択するのかと思ったのですが、どうも即時完全採用という感じです。
 
金融庁が今年の7月29日に、『「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」等の一部を改正する件について』を発表しています。リンクはこちら
 
ここでは、今年の6月30日までに公表された国際会計基準とその解釈指針を指定国際会計基準とするとしています。
 
なんとまあ素早いこと。
 
昨日も書きましたが、EUにおいても即時全面採用するわけではなく、一部採用としたり、採用を見送ったりと言うことが起きている中で、日本はEUを追い抜いてしまいました。
 
そもそも2007年8月の IASBとASBJの「東京合意」は、EUの同等性評価の債を解消することが第一の目標だったわけですが、ここでは相手はEU(すなわちEUの採用したIFRS)であり、IFRS自体ではないことに注意が必要です。
 
EUですら採用していない基準をどんどん採用していく日本は、EUに追いついたと思ったらいつの間にか行き過ぎてしまい、またEUIFRSとの同等性評価ではEquivalentとされなくなるかもしれません(笑)
 
同等性評価をしたCESR はthe Committee of European Securities Regulatorsという欧州の組織であり、IFRS制定母体ではありません。
 
それにしても、金融商品会計など、基準が出てはすぐに修正になったり引っ込められたりしているなかで、何でもかんでも即採用という対応に危険はないでしょうか。
 
それに対応する企業が振り回されるということはないでしょうか。
 
また、IFRSの日本語訳は追いついているのでしょうか。財務諸表を作る人、監査する人、財務諸表を利用する人は、十分に学習する時間があるのでしょうか。
 
日本だけ突っ込んだIFRSの採用をすることで、逆に他の国の企業の財務データとの比較可能性が失われることはないでしょうか。
 
心配になります。