語楽カフェ

趣味としての外国語学習

IFRSの本質

 
すっかり遅くなってしまいましたが、8/5に日本CFA協会主催のセミナーがありました。
「IASBの最近の活動状況 10年の活動を振り返って」というタイトルで、IASBの理事を10年間務められた山田辰巳さんの講演がありました。
 
山田さんのお話は数年前にベンダー主催の大人数のIFRSセミナーで聞いたことがあって、その時は単調につまらない話をする人だという印象でしたが、今回は違いました。
 
当時は立場上色々と言いにくいこともあったのでしょうが、今回は辞任後であり、少人数であり、質疑応答も含めてバシバシと気持ちの良い発言が続きました。
 
この中で強く懸念されていたのが、自見大臣のIFRSに対する消極的な姿勢。
特にコンバージェンスの方向性についてASBJの活動に委ねず企業会計審議会が議論するというのは、会計基準は民間に任せるという他国の流れと逆行する憂慮すべきことだというものでした。
私も会計プロフェッショナルとして動きをフォローしていかなければと強く思いました。(自見大臣なんて地味なので名前も知らなかった)
 
セミナー向けに少し準備せねばと読んでいたのが、知らないではすまされない マネジメントのためのIFRS
 

昨年出た時に図書館から借りてきたのですがほとんど読まずに返却。
今回あらためてしっかり読んでみたら、目からウ○コ。
 
IFRSは原則上場企業に適用されるわけだから、投資家のための基準であるというのは分かっているつもりだったのですが、分かっていなかったようです。
ゴーイング・コンサーンであるのに何でも時価評価、当期利益には興味が無く包括利益を重視というのは、結局のところデューデリジェンス会計だという著者の説明はとても腑に落ちました。
解散価値ではない。今売却するとしたらいくらになるのか。
 
投資家向けの会計基準なので、管理会計としては使えないと思った方が良いのであるし、例えば着荷基準が義務づけられるというならば、出荷基準で記録をしておいて、四半期末だけ保守的に売上を数日分取り消すという現実的な対応でというのも有りなのです。
 
新日本有限責任監査法人所属でこれほど自分の意見を全面に押し出した本を出すのも凄いなと思いました。
 
内容的には発売後一年経って古くなっている部分もありますが、その本質のところは未だに有効で、一読の価値有りだと思います。
 
また、IFRS反対のロビー活動をしていたのが新日本の子会社、新日本パブリックアフェアーズであったという話もあり、まだまだ目が離せません。