憧れの美人部長と「セッ○○」
憧れの美人部長と「セッ○○」
ちょっと古いですが、"英語のメンタルレキシコン―語彙の獲得・処理・学習"という本があります。私のお気に入りのほんの一冊です。読み返そうとは思わないのですけれど。
その中に単語から音韻表象へのアクセスの話があって、二重経路モデルとか多層水準モデルとか出てきます。
難しい話は良く分からなかったのですが、単語を見たときに語の文字パターンから意味を認識するルート、いったん発音してそこから意味を探しに行くルート、その他....というルートがあるようです。
例えばタイトルの「憧れの美人部長と『セッ○○』」であれば、空欄は一意に決まるような気がします。(少なくともスケベ成人男性においては)
これが「憧れの美人部長と『せっ○○』」とひらがなになったらどうでしょうか。或いは「憧れの美人部長と『接○』」となったらどうでしょうか。
カタカナの場合と違い、ひらがなの場合はすぐには思いつかず、頭の中で(或いは実際に)発音してみて空欄補充を試みるのではないでしょうか。テレビのクイズ番組のような感じです。
漢字の場合は、これは回答者の経験・シチュエーションによって複数の選択肢があるでしょう。 接待、接吻、接触。
しかしこれらの選択肢は冒頭の「憧れの美人部長と『セッ○○』」においては選択されないのです。
カタカナ四文字で最初の二文字が「セッ」であれば、その単語は一意に「セッ○○」で決まってしまうということです。
文字パターンによるつながりの強さ(或いはボキャブラリーの貧困さ)がここで明らかになります。
また、「セッ○○」と伏せ字にすることによる特定の語彙への誘導という点も考える必要があるでしょう。
おおっぴらに文字にできない、声に出せない単語であるというイメージを回答者に与えることに成功しています。
類例としては、「目からうろこ」という表現に関して、「目からう○こ」とした瞬間、空欄には「ん」しか入らなくなるというものがあります。
ただしこれは空欄補充と言うよりは、すでに「う○こ」という表記が確立しているという状況も考慮する必要があります。