語楽カフェ

趣味としての外国語学習

FとH

FとH

「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」(黒川伊保子著)新潮新書を読んでいます。

面白いです。

興味を持った箇所の一つに、F音に関する記述がある(50ページ)

「日本語人(母語が日本語である人)」は、両唇を脱力し半端に震わせて作る。一方、英語人は下唇を軽くかんで開放する動作によって、下唇だけを震わせて作り出す。構造的にはこの二つ、まったく違う動作になるが(はっきり言って、見た目は英語人の方がカッコイイ)、「唇を半端に震わす」という目的は一緒。したがって、イメージ効果も共通である。」

はて?日本語にF音ってありましたっけ?

昨日の記事で、妻Rの母Yが、(フィレンツェ)が発音できず、(ふいれんつぇ)か、(ひれんつぇ)となると書いたところです。

(フィレンツェ)か(ふいれんつぇ)かと言う点は、仮にF音で発音していたとすると、「FI-」か、「FUI-」かという違いです。

他方、(フィレンツェ)か(ひれんつぇ)かと言う点は、うまく説明が出来ません。F音で発生するなら、同じ下唇を噛むV音でも同じ現象がありそうなものなのに、その例が作れません。

同様に破裂音の BやPでも作れません。

Fの場合、下唇を噛むことで口の形が決まってしまうので、そのまま音を出すと、「FU」という音にしかならないのが、Hについては、HA、HI、HU、HE、HO、あるいはその中間母音につなげることが可能です。

と、ここまで考えて、Hの音で始まる「フィレンツェ」を発音することが出来ました。あるいはこれが著者の言うところの、日本語のF音なのかも知れません。

英語などのF音に親しんでいると、日本語でも英語のF音を使うことが多くなります。

例えば、私の出身の福井県とか藤島高校とか、知らず知らず、下唇を噛んだF音で発音しています。(ローマ字表記もF音ですし)

これが日本語でのF音が英語のF音に置き換えられているのか、ローマ字表記に引っ張られてそうなっているのかはわかりません。

「唇を噛むと可愛いく見えるよ」とアドバイスを受けた女の子が、間違えて上唇を噛んでちっとも可愛くみてもらえなかった話を思い出しました。