「言語の脳科学」中公新書
「言語の脳科学」中公新書
今朝のNHKの地球ドラマチックで、「ブレインマン」が再放送されていました。
円周率を25,000桁までだったか覚えられるとか、複雑な計算も、暗算でできてしまうとか。(実際には暗算ではなく、勝手に答が頭の中に浮かんでくるらしく。しかも、数字がでてくるのではなく、すべてイメージなのだという)
数字のみならず、外国語も一週間で覚えてしまうということで、アイスランド語を一週間で覚えて、現地のテレビ番組に出演するというような場面も流れていました。
すごいですね。
脳の障害や脳への刺激がきっかけでこのような能力が出現することは良くあるようですが、優れた能力と同時に障害を抱えてしまうことがほとんどなので、彼の場合は極めて希で幸運だったのでしょう。
このような症状をサヴァン症候群(savant syndrome)と呼ぶようで、たまたま今読んでいる、「言語の脳科学」でも、そのような例が紹介されています。(87ページ)
著者によれば、20カ国語を使いこなす語学の天才クリストファは、29歳の時の精神年齢が9歳と見積もられたのですが、特殊な能力を身につけているのではなく、幼児の言語モジュールの能力を大人になっても失わなかったことがユニークということです。
著者は、母語の獲得と第二外国語の学習とを明確に区分しているので、「赤ちゃんが言葉を学ぶように英語を学ぶ」というどこかの外国語学校の宣伝文句がむなしいものに聞こえてきます。
専門がもともと物理学ということ。言語学は理系の学問だという著者の主張は納得的で、今後の活躍を期待しています。