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快読100万語!ペーパーバックへの道   その2

快読100万語!ペーパーバックへの道   その2

コメントの2です。

私自身は、自分の語学力ベースは「学校(受験)英語+α」だと思っているのですが、この本で著者が「学校英語」として批判しているものについて、実は私は必ずしもそのようなアプローチを取っていなかったということに気がつきました。

著者は「unlearn」というキーワードで、学校英語で学んだことを忘れることを説いています。

その教えの一つが、「語の意味辞書など引かずに、その語があらわれる文にたくさん触れて、そこから意味が浮き出してくるのをじっくり待つのが理想です」(223ページ)というもの。

英語日本語の単語の対応が1対1ではないから、英和辞典や、市販の単語集を使って単語を覚えるのは危険であるという主張は理解できます。

私は、キーワードでなければ辞書を引かずに読み飛ばしますが、やはり勘違いを防ぐために、少なくともキーワード辞書を引きます。

ただ、その際に気をつけているのは、辞書に記載されている日本語訳をざっと最初から最後まで目を通して、単語の持つイメージの範囲を理解し、その後、unlearn !! 一旦意味を忘れようとします。

ここで確認したその単語のイメージの範囲というのは、日本語で定義された範囲ですので、英語の中での範囲とは異なることが多いです。

よって、その境界を今度は多読によって微調整/規定していくのです。

もう一つの著者の学校教育に対する批判は、英文和訳に対するものです。

私は学校教育の中では英文和訳にかなりの力を注いだので、違和感があったのですが、英文和訳という言葉についての定義が著者と若干ずれていたことに気づきました。

著者の非難する英文和訳においては、英語日本語で語順が異なることから、元の英語の語順を無視して、日本語の語順に直す作業をしなければならず、結果英語の語順に合わせて理解するのではなく、日本語の語順に直してからようやく理解ができることになります。

これでは、文の中を前に戻ったり後ろに飛んだりを何度もやらねばならず、速読(あるいはリスニング)をする際の制約となり、かつ、原文が意図したリズムも味も無くなってしまうということです。

私はどうしている(どうしていた)でしょうか。

受験英語の時代(あるいはフランス語イタリア語学習初期において)、和訳の問題が出た場合、文法知識をペースとしての精読/文章の構造分析をしっかりやり、勘違いがないことを確認した後、その分析を一旦忘れ unlearn !! 、理解した意味の固まりを日本語にして吐きだしていたような気がします。

その意味では、私がやっていたのは、英文和訳ではなく、翻訳だったような気がします。

文法知識がしっかりしてくれば、出会う文も見慣れた構造ですから、構造分析をやる必要はなく、どんどん頭から理解していけば良いことになります。

リスニングにおいては、複雑な文構造の話をすると聞き手が混乱しますから、話してはわかりやすい文章にするでしょうが、書かれた文では、(想定された読み手がネイティブであっても)ある程度の行きつ戻りつを想定しつつ、複雑な文を書く人もいると思います。

学習初期の方にお薦めするのは、文構造の分析をしっかりやるということです。

これをやらないと、英文和訳が、「なんとなく合っているのだけれど」というフィーリング和訳になり、その後の上達の妨げになると思います。