2006-08-17
何も足さない、何も引かない
「何も足さない 何も引かない」
サントリーのウヰスキー「山崎」のコピーとして有名になった言葉です。
黒子に徹するべき通訳が、本人の言っていないことを加えたり、言っていることを落としてしまうのは許されないという態度でしょう。
一方、これまでお話ししてきたフィルター(あるいはスキーマ)には文化的背景や、話者と聞き手の間の合意事項が含まれており、それらは前提とされることから記述から落ちることになります。
よって、英語のフィルターに含まれる合意事項は英語の記述から落ちます。
これを
事象 = 英(T)+英(F)
と置いてみます。
英(F) 英語のフィルターに含まれている合意事項なので省略されている物
よって、私たちは、英日翻訳においては
1.英(T)を目に/耳にした際には、英(F) を補った上で、脳の中で事象を再現する。
2.これを日本語にしようとした際に、日(F)の部分を省略して、日(T)として表現する
ということになります。
この意味では、翻訳・通訳の際には、「(フィルターに含まれている合意事項を)足して、(フィルターに含まれている合意事項を)引いて」というアプローチが正当と言うことになります。