「翻訳入門」 辻谷真一郎
「翻訳入門」 辻谷真一郎
先日アマゾンで買った(中古ですが)のにもかかわらず、土曜日に散歩の途中に通りかかった区立図書館で半分以上読んでしまいました。
前作の「学校英語よ、さようなら」をまだ読み終えていないのですけれど。
英日翻訳について語るわけですが、「英語→イメージ」の部分には触れず、「イメージ→日本語」の部分についてのみ述べることから、何となく外国語の勉強ではなく日本語の勉強をしているようで、やや私の気持ちが入らない部分があります。
「外国語→日本語翻訳は、日本語の問題/能力である」とは良く言われることですが、本当にそうですね。
面白かったのは「辞書に出ているのは単語の意味ではなく訳語である。意味は一つしかない」というところ。
まさにその通り。
このごつごつした訳語の羅列を一通り眺めて、一旦忘れて、多読・多聴により、その言葉の意味領域を確定するというのが正しいアプローチでしょう。
あるいは「一旦逐語訳して、その後日本語を洗練していくというアプローチは失敗する」というところ。
私のインプット/アウトプット理論では、一旦(外国語のインプットフィルターを通して)頭に浮かんだ映像が日本語のフィルターを通して再現されるわけですが、その際には、頭の映像と日本語での表現との間には、日本語のフィルターしかありません。
しかしながら、実際のところは英語の語順や言い回しに引っ張られた、たどたどしい日本語になってしまいます。
一旦逐語訳をして、それを洗練した日本語にしようとする試みも、どうしても元の日本語に引っ張られてうまく行きません。
これは、別の人が作った訳を修正するという場合にも同じ経験をします。
著者の辻谷さんは、「外国語の形式に引っ張られるな」ということを強く主張されています。
著者の「出没情報」という概念は私のフィルターと近いものがあります。
9/22の著者のお試し翻訳講座に参加してきます。
今から楽しみです。