多読は受験に有効か
多読は受験に有効か
生寅の会 in 名古屋でご質問をいただきました。
文法、語彙の増強について、通常の授業を受けずに多読だけでやろうというのは危険だと思いますが、どちらにせよ学校で普通の英語の授業があるというのであれば、それを補う形で多読を取り入れられれば良いと思います。
英語嫌いのフランスですら、英語の授業時間が日本より多くなっているようです。一にも二にも、英語へのエクスポージャーが足りなさすぎでしょう。
多読を行うことによるメリットは、以下のような感じでしょうか。
1.頭から読んで理解するようになる
2.単語が自分のモノになる
1.頭から読んで理解するようになる
「学校英語では日本の語順に直して理解するから、英語が上手にならない。頭から読んで分かるようにしなければならない」という批判がありますが、これは必ずしも正しくないでしょう。
個人の能力はアウトプットでしか測定できないと言う話を以前書きました。
読解力のテストは、例えば英文和訳という形で行われるのですが、その場合、日本の語順に直して、かつ、関係代名詞などを「自分はちゃんと理解しているぞ」とアピールする形で訳出します。
(そのように英語教室でも指導しているそうです)
私もそのように答案は作りましたが、英文を読んでいるときは、いつからか頭からそのまま読んで理解するように変わっていました。
訳文がそうだからと言って、読んでいるときもそのように理解する必要はなく、頭から読んで語順通りに理解できるならば、読むスピードも上がるでしょうし、試験の際にも非常に有利となるでしょう。
2.単語が自分のモノになる
(1) 単語集で覚えるのはあまりに機械的で覚えるのがつらいです。かつ忘れやすいです。
生きた文章の中で(多読により)何度も出会うことで、容易に覚えられるでしょう。
(2) 辞書や単語集に出てくるのはあくまで訳語でしかなく、そこにある複数の訳語に肉付けをしていって単語の意味が分かります。
単語集に終始したのではいつまでたっても単語の意味の全体像にたどり着きません。
多読により実際の文脈で単語に触れることにより、点(訳語)のばらばらな集まりだった単語の意味が、次第に一つの形になっていくでしょう。
学校で習う単語の数も限られているので、多読により語彙を増やすことも可能でしょうし、語彙を絞った、Graded Reader により、単語の意味に対する理解を深めることも可能でしょう。
この達成感により、英語への抵抗感が下がるのではないでしょうか。
Graded Readerだったら、そのうち完全版を読もうという意欲も湧いて、好循環になるでしょう。