2006-06-01
誤訳
これは面白いですね。
「AはBである」が正しいとき、CがAであれば、CはBである。
これは正しいです。
「AはBである」が正しいとき、CがBであれば、CはAである。
これは必ずしも正しくないです。
本書の17ページに「名通訳者には、駄洒落の達人が多い」との記述がありました。
これを見て、「私は駄洒落の達人だから、きっと名通訳者になれる」と0.3秒くらい思ったのですが、上述の通り、論理が破綻しております。
それに、私が駄洒落の達人かどうかについても議論のあるところだと思います。
52ページには、イタリア人男性に惚れる日本人女性の話で、以下の記述がありました。
「口説き文句貧困文化圏の女が、雨あられと歯の浮くような台詞を振り注ぐ口説き文句過剰文化圏の男の口先三寸を、字句通りまともに受けとめてしまうために起こる現象なのだ」
さらに続けて
「執拗で情熱的なイタリア男の口説きは、身持ちの固いイタリア女とセットになっている。
『ああ、こんに絶世の美女、生まれて初めてだ』
『明日にでも結婚してくれなきゃ身の破滅だ』
過激で大げさな台詞も女の意識に届く頃には、「やあ、こんにちは」程度の挨拶言葉に「自動翻訳」されて受けとめられる」
文字通り訳していたら、誤訳ということです。文化的背景を知らないとおそろしいです。
かく言う私も、イタリアにいたときはすっかりイタリア人になっていたのでした。
背筋がしゃんとし、声が大きくなり。
Giugiaro
ジョルジェット・ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro)は、イタリアの工業デザイナーで、イタルデザインの創設者です。
昨日、神保町から大手町まで歩いていく途中、ラジオでアルファロメオのCMが流れていて、その中で、デザイナー Giugiaro の名前を耳にしたのです。
彼の存在は昔から知っていたので、何の驚きでもないのですが、驚いたのは、Giugiaroが「十時野郎」に聞こえたことです。
ここまでであれば、いつもの単純な聞き間違いです。
がっ!
昨日の発見は、そのような聞き間違いは、Giugiaroの名前がイタリア語のコマーシャルで出てくるときには発生せず、おそらく、英語のコマーシャルでも発生しないだろうということでした。
つまり、聞いているときに頭の中が日本語フィルターになっているので、日本語の近い音に寄せて聞き取ろうとしていて、結果として、日本語の単語への聞き間違いが発生するのではないかということです。
イギリス英語で使われる、aubergine (野菜のナス)が、欧米人に聞こえたのも、日本語で話をしていた時だったかも知れません。
もちろん、突然頭の中で別の外国語の発音の近い言葉が結びつくということもありますが、やはり、その時の頭が何語モードかで、何語に聞き間違えるかということが影響されているような気がします。
第一回 「生寅」のご案内
いつも読んでいただいてありがとうございます。
ウェブ上ではなく、生の寅彦を囲んで、ボコボコに打ちのめす会。題して「生寅(なまとら)の会」を開催いたします。
とりあえず参加希望者が一名集まりましたので、開催決定です。
仮で、以下のスケジュールとします。
6月20日(火曜) 時間は10時-15時の間の二時間程度。
場所は都内山手線圏内
参加ご希望の方、日時等についてご意見のある方は、澁澤掲示板澁澤刑事まで書き込みいただくか、私宛にメールをください。
テーマは外国語一般として特に定めませんが、ご希望があれば、お聞かせください。
今は、英語早期教育/海外での子女教育/第二言語取得などにしようかなと考えています。
(これは、決して私がこの分野の専門家というわけではなく、この分野についていろいろ考えていることについて、意見交換をさせていただきたいということです)
よろしくお願いします。